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99 モンゴル

ヘルツォーク&ド・ムーロンが100人の建築家を選び100の住宅をつくるプロジェクトの舞台は、かつてチンギス・ハンがモンゴル高原の遊牧民を統合し創設した史上最大の「遊牧国家」であった。モンゴルはその後の明、清、中華民国の時代を経るなかで定住化が始まった。1924年に世界で2番目の社会主義国として独立したモンゴル人民共和国は「定住国家」となった。1990年代初頭に市場経済へ移行し、家畜の私有化が行なわれ、2002年には「土地に関する法律」の改定により、土地の私有化が行なわれた。新たな資本主義国家の幕開けと言えるだろう。
現在、その定住化の始まりの場所である首都ウランバートルは、中国ほどではないが建設ラッシュである。共産主義国に付きもののスクエアを中心として、ソ連の影響であろう折衷的建物や、多くは再建されたチベット様式・漢様式の寺院が建ち並ぶなかで、インフラが整備されガラスに覆われた建物が顔を出している。だが目覚ましい発展とともに、遊牧民の都市への流入が問題となっている。草原や砂漠における遊牧民の伝統的移動式住宅「ゲル(中国語名パオ)」がプレハブのインフラフリー建築であることを活かして、インフラ未整備の都市周縁部に、寒害で家畜を損失した遊牧民や、生活より子どもの教育を優先させた遊牧民が、ゲルを持って住み着きスラムを生成させている。
今回は滞在日数4日間で、ゲルでの生活から草原での乗馬、ゲルの組立・解体を含めたツアーに参加させていただいた。そのため写真は草原でのものが多く、都市部のものは少ないが、ゲルの、そしてバックミンスター・フラーの建築の、インフラフリー建築の可能性と、ライフスタイルの変化に対応していく住宅の可能性を、伝えることができれば幸いである。



[撮影者:豊嶋純一(東北大学大学院工学研究科都市建築学専攻)]

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