PHOTO ARCHIVES

97 青森

白神山地や十和田湖などの大自然、夏の風物詩である青森ねぶた、りんごやほたて、マグロといった豊富な食材に加えて、青森は自然に恵まれ、縄文時代から継承されてきた豊かな文化も持つ県であるが、近年の青森はアート、建築において盛り上がりを見せている。《国際芸術センター青森》(2001)、《青森県立美術館》(2005)、《十和田市現代美術館》(2008)など、有名建築家による美術館開館が相次いだことは建築界のニュースとして記憶に新しい。
先日、3年ぶりに《青森県立美術館》に立ち寄った。企画展終了間近の日曜日であり、さらに奈良美智氏の《あおもり犬》へのアプローチが新たに設置されたことが手伝い、多くの地元の人で賑わっていた。「県立」美術館としては日本で最後に開館した県立美術館が地元に根付こうとしている姿を見るのは感慨深かった。
新たな建築が青森を潤す一方で、青森は古い建築も大切にする。それが顕著に見ることができるのが弘前市である。弘前市には多くの前川國男作品が残されており、処女作《木村産業研究所》(1932)から晩年の《弘前市斎場》(1983)に至るまで、弘前市の核となる主要施設はほぼすべてが前川作品という事実は非常に興味深い。ブルーノ・タウトは1935年に弘前に立ち寄った際、《村産業研究所》を見て、「なぜこの辺境の地にル・コルビュジエ風の白亜の建物があるのか」と驚いたと言う。当時は白いモダニズム建築は世界的にも珍しく、日本最果ての北国でそれに出会ったことは印象的な出来事であったのだろう。これらの前川建築群はほとんどが弘前市中心部から徒歩圏内にあるので、立ち寄った際にはおすすめである。また、弘前では「前川國男の建物を大切にする会」「harappa」をはじめとするNPOの活動など、アートや建築を守り育てていく活動が地元で行なわれている。これらの活動は、青森の豊かな風土が育んだ賜物ではないだろうか。
ここで使用している写真は、2005年から2008年のあいだに撮りためたものである。



[撮影者:加藤拓郎(東北大学工学部建築社会環境工学科)]

→ 「公開の原則と著作権について」
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事:98 ヴェネチア・ビエンナーレ建築展2008 日本館
次の記事:96 ダッチモダニズム
Photo Archives|五十嵐太郎

INFORMATIONRSS

第24回 R&R 建築再生展2019 学生 建築ストック再生コンテスト(応募・〆4/25)

近年、日本では建築ストックの活用が叫ばれ、建築再生の時代へと移行しつつあります。学生の卒業設計でも...

建築学生ワークショップ出雲2019開催説明会、講演会(東京・5/9、京都・5/16)

2019年夏、古代より現代に受け継がれてきた、わが国を代表する神聖な場所、出雲大社周辺区域にて、小...

杉戸洋「cut and restrain」(港区・3/16-4/13)

杉戸洋による展覧会が「cut and restrain」4月16日まで小山登美夫ギャラリーで開催し...

建築レクチュアシリーズ217 平田晃久(大阪・4/5)

大阪を拠点に活動を行う2人の建築家、芦澤竜一氏と平沼孝啓氏が1組のゲスト建築家をお呼びして、年に7...

山岸剛×光嶋裕介「なぜ山岸は光嶋に対話を頼むのか? なぜ光嶋は山岸に撮影を頼むのか? 建築をめぐる写真とことば」『Tohoku Lost, Left, Found 山岸剛写真集』刊行記念(世田谷区・3/29)

東日本大震災から8年。3.11をきっかけに東北の大地を8年にわたり撮り続けた『Tohoku Los...

山岸剛写真集『Tohoku Lost, Left, Found』刊行記念トーク:山岸剛×植田実「『建築写真』とはなにか」(中央区・3/17)

『Tohoku Lost, Left, Found 山岸剛写真集』(LIXIL出版)の刊行を記念し...

公開討議「西欧的空間の彼岸とイスラーム空間」(港区・3/19)

横浜国立大学の都市空間研究会が主催する公開討議「西欧的空間の彼岸とイスラーム空間」が、3月19日に...

シンポジウム「建築の公共性──誰のためにつくるのか」(港区・3/28)

その建築をだれのためにつくるのか。 発注者のためです。そして同時にそれを使う人のためです。発注者が...

建築写真家・山岸剛作品展示「Tohoku Lost, Left, Found」(中央区・2/26-3/31)

写真家・山岸剛氏による『Tohoku Lost, Left, Found 山岸剛写真集』(LIXI...

鏡と天秤─ミクスト・マテリアル・インスタレーション─(中央区・3/12-5/11)

私たちは非日常(ハレ)と日常(ケ)の境界が曖昧な社会におり、個々が非日常(ハレ)と日常(ケ)のバラ...

- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展(品川区・2/6-5/6)

建築倉庫ミュージアムでは、2月6日より「- Green, Green and Tropical -...

AA visiting school workshop at 竹中大工道具館(兵庫県ほか・3/13-24)

イギリスの建築の名門AAスクールが世界中の大学や企業と共に世界各地で行うワークショップ「A...
建築インフォメーション
Twitter Feed
ページTOPヘ戻る