PHOTO ARCHIVES

93 ロンドン

「いま世界のお金がたまたまロンドンに集まっているだけだ。私がロンドンで仕事を始めたころはプロジェクトなんて全然なかったよ」とアレハンドロ・ザエラ・ポロ(FOA)は私の質問に答えた。当サイトの 80(横手義洋氏)においてもロンドンの好景気ぶりがすでにお伝えされている。
そこで今回私は、2006年秋からの文化庁在外研修(FOA)とその後の勤務を含めて、生活者として一年半ロンドンに滞在し、そこから見えてきた建築・環境を主に取り上げることに努めた。これらは日々の通勤途中や市販の詳細な建築ガイドブック『LONDON'S CONTEMPORARY ARCHITECTURE+』を参照しながらの週末散歩、いまのロンドンを建築的側面から伝える「New London Architecture」展やOpen House London(普段は入ることができない建築を一般に開放するイヴェント)に参加し、得た情報のなかから選定したものである。

そのなかでも特にハンガリー出身の建築家エルノ・ゴールドフィンガーの建物は、時代のブルータリズムを前面に押し出した存在感と空間構成、素材の選定に至まで内外共に感銘を受けた作品のひとつだ。図らずも今回セレクトした建築群からは、先のゴールドフィンガーに代表される1960年代とガーキンに代表される2000年以降というグループが見えてきた。つまり、政治経済と密にした都市の停滞状態がその間にある。そして、ある時代性とある時代性をジャンプしたギャップが、都市を占める素地のような100年以上前の建物の中に浮き立ち、これらの対比が現在のロンドンのパッチワーク的な都市のキャラクターを生み出しているのだろう。
また、富裕層が暮らし、旅行者が徘徊するセンター地区に留まらず、再開発の名の下、オリンピック・プロジェクトやデヴィッド・アジャイの公共建築(《Idea Store One and Two》など)は、ロンドンの東部と南部に大きくグルーピングされた人種のボーダーに、建築からも一石を投じようとしている。

田辺雄之(建築家)
http://www.yuji-tanabe.com/



[撮影者:田辺雄之(建築家)]

→ 「公開の原則と著作権について」

pic  ウィルキンソン・エア《アルペン・ハウス》

pic  エルノ・ゴールドフィンガー《バルフロン・タワー》

pic  アリーズ&モリソン《バンクサイド123》

pic  《バンクサイド・スタジオ》

pic  パウエル&ボン《バービカン》

pic  ジャイルス・ギルバート・スコット卿《バタシー発電所》

pic  エリック・ベッドフォード&G.R.イェーツ《ブリティッシュ・テレコム・タワー》

pic  《ブロードゲート/バトル・オブ・ジャイアント》

pic  ワイアット・マクラーレン《ブロムリー/ボウ・ヘルシー・リビング・センター》

pic  トニー・フレットン《カムデン・アート・センター》

pic  オルソップ・アーキテクツ《カナリー・ワーフ・リフティング・ブリッジ》

pic  ニコラス・レイシー《コンテナ・シティ》

pic  《カティー・サーク・テンポラリー・パヴィリオン》

pic  《ダンディー・ワーフ》

pic  《エミレーツ・スタジアム》

pic  フューチャー・システムズ《フローティング・ブリッジ》

pic  パウエル&ボン《ゴールデン・レーン》

pic  ダニエル・リベスキンド《グラデュエイト・センター》

pic  フューチャー・システムズ《ハウアー・キング・ハウス》

pic  デヴィッド・アジャイ《イディア・ストア・ワン》

pic  デヴィッド・アジャイ《イディア・ストア・ツー》

pic  ヘルツォーグ&ドゥムロン《ラバン・センター》

pic  リチャード・ロジャース《ロイズ・オブ・ロンドン》 [1]

pic  リチャード・ロジャース《ロイズ・オブ・ロンドン》 [2]

pic  デヴィッド・マーク&ジュリア・バーフィールド《ロンドン・アイ》

pic  ジャン・プルーヴェ《メゾン・トロピカル》

pic  ペノイレ&プラサード《ムーフィールズ・アイ・ホスピタル》

pic  ディクソン・ジョーンズ《ナショナル・ポートレート・ギャラリー》

pic  ジェームス・スターリングマイケル・ウィルフォード《ナンバーワン・ポウトリー》

pic  マイケル・ドレイン/クラウディオ・シルバスタン《パラソル・ユニット》

pic  グスタフソン・ポーター《プリンセス・ダイアナ・メモリアル》

pic  トンキン・リウ《プロムナード・オブ・ライト》

pic  デヴィッド・アジャイ《リヴィングトン・プレイス》

pic  ピーター&アリソン・スミスソン《ロビン・フッド・ガーデン》

pic  ニコラス・グリムショウ《センズベリー・バトルシップ・スーパーマーケット》

pic  レム・コールハス《サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2006》

pic  オラファー・エリアソン&ジェティル・トーセン《サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2007》

pic  《スミスフィールド・マーケット》

pic  コーネル・シーファート《スペース・ハウス》

pic  メイク・アーキテクツ《セントポール・インフォメーション・センター》

pic  サラ・ウィグルスワース&ジェレミー・ティル《ストロー・ベイル・ポリティクス》

pic  リチャード・ロジャース《ジ・オーツー》

pic  コーネル・シーファート《タワー41》

pic  エルノ・ゴールドフィンガー《トレリック・タワー》

pic  アラップ・アソシエイツ《ボクソール》

pic  シェド54《ワッピン・プロジェクト》

pic  ニコラス・グリムショウ《25 グレシャム・ストリート》

pic  ゴリンズ・メルビン・ウォード《122 レッドゥンホール・ストリート(解体中)》

 


このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事:94 モスクワ
次の記事:92 広島
Photo Archives|五十嵐太郎

INFORMATIONRSS

SPACE DESIGN TOOL BOX VOL.1 「空間デザインの道具箱」(渋谷区・11/21)

「空間デザイン」をもっと面白くするための道具や知恵を集めて、共有したい! 働く空間は、オフィスだけ...

保存再生学特別研究会「20世紀建築遺産の積極的保存活用に向けて」(千代田区・11/9)

都市内には、日々使い続けられている20世紀建築が多数存在するが、それらの保存活用における課題、それ...

上妻世海『制作へ』刊行記念トークイベント 上妻世海×門脇耕三×木内俊克(千代田区・11/30)

『制作へ』の表題論考「制作へ」は一種の身体論であり、身体拡張論である。制作を通じて身体を〈作品〉...

分離派100年研究会 連続シンポジウム第5回「分離派登場の背景に見る建築教育と建築構造」(文京区・11/3)

分離派建築会(1920年 東京帝国大学卒業・結成)を、日本の近代建築におけるモダンデザインの鼻祖と...

東京大学HMC企画研究「学術資産としての東京大学」/シンポジウム「本郷キャンパスの形成とそれを語る学術資産」(文京区・10/28)

本シンポジウムでは、2018年6月に出版された東京大学キャンパス計画室編『東京大学本郷キャンパス――...

ケンチクトークセッション「都市のパブリックをつくるキーワード」(港区・9/24、11/18)

建築家が公共的な建築に取り組むとき、どんなことを考え、何を理想としているのでしょう。 1985年に...
建築インフォメーション
Twitter Feed
ページTOPヘ戻る