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83 日本建築の様式縦覧

20世紀の世界大戦時の尋常ではない究極の物的思考がきっかけとなって、世界中に流布した合理的・機械的な建築。西洋ほど長い歴史をもたず伝統の構築を急ぐアメリカ社会を強力な背景に、閃光を浴びたポストモダニズムの建築群。カウンターカルチャーの社会運動も契機のひとつとなった、脱構築建築思潮。資本社会のなかの現代版パトロネージの代表格であるフランク・O・ゲーリーの気ままな建築群。近代以降の建築の数々のみに目をやっても、各々の建築はそれぞれ、まず、時代毎・場所毎の社会や文化と同期しつつ、そのうえで、過去・現在・未来の時代や周辺国や周辺環境とも強く関係し合いながら、建築の記憶を今の時代にまで形象/継承している。
私はこれまで、海外の脱構築の建築の流れに強い興味を抱きつつ、大学入学時の頃から講義や実験の合間をぬっては、国内外の建築設計事務所の門を叩いて、それぞれの建築家のもとで建築設計を経験してきた。そして、今は、近代建築から現代建築を専門として、毎月のように海外の建築家と打ち合わせをするのだが、当時、建築家本人と生活を通して直接話すなかで、現代のようなグローバリズムの進む世のなかにおいても、彼らのそれぞれには通常のメディアでの一般的な設計論だけでは語りきれない、もしくは本人自身が語らない部分、いわば、建築家自身の国籍や信仰といった影響が常に彼らの心と体の根底にあってこその建築であることに気がつく。それに対して、果たして自分はどうなのかと、ひとりの20代半ばの日本人建築学生としてハッと恥ずかしく感じることが度々あった。その衝撃以降、国内、国外にて建築・都市プロジェクトに参加するために旅する合間をみては、できるだけ、土地毎、時代毎の様式建築も巡るようにしている。
今回は、日本の歴史上でその後の建築界に大きな影響を与えた建築様式について、滋賀、京都、兵庫の関西三県に現存する建築を縦覧する。とても早歩きながらも、日本の建築史上の様式は一通り選んであり、ここで登場する建築の多くは実際に名古屋工業大学の建築史実習にて100年以上前から見学されてきているものである。効率よくまわれば1週間ほどの行程なので、できれば実際に、自分さがしの旅に訪れてみてほしい。



[撮影者:北川啓介(名古屋工業大学大学院/北川建築研究所)]

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