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177 トルコの木造ドーム

177 トルコの木造ドーム

「トルコの建築」というとアヤ・ソフィアやブルーモスクといった大きなドームをもつ石造建築を想像する方が多いだろう。しかし、トルコでも木造建築は存在する。とくに、壁などの躯体を石造にし、天井を木造としたハイブリッド構造の住宅やモスクが多く建てられている。そのなかでも、今回は、木材を積み重ねていくことでドームのようになった天井をもつ建築を紹介していきたい。
写真は、2014年9月に行なった現地調査の際に撮影したもので、トルコ北東部の住宅、モスク、そして、トルコ語で「ハン(Han)」と呼ばれるキャラバンサライ(隊商宿)が中心である。これらがもつ木造ドーム天井は、トルコ語で「クルラングチュ・オルトゥ(Kırlangıç Örtü、ツバメの天井)」と呼ばれる。正方形平面の四隅に、斜めに材を架けることで一回り小さい方形もしくは八角形をつくり、さらにその上に同様の構造を繰り返すことで、中央の開口部を狭めている。中央に行くほど天井高が高くなるため、段数が多いほど形状がドームに近くなっていく。トルコ国内にある同様の天井には、石造やレンガ造のものもあるが、北東部ではマツを用いた八角形のものが主流のようである。また、この木造天井は、ビルディングタイプによって異なる様相を見せる点も興味深い。住宅やキャラバンサライなど居住空間に用いる場合は、中央の頂部を開口部とし、明り取りや煙出しとして使い、ほとんど装飾はみられない。また、柱は補助的に使われるだけで、居室全体を覆うように架けられる。一方、モスクなどの宗教建築の場合、四本の柱によって支えられた木造ドームは、礼拝室天井の一部分にのみ使われる。その多くは礼拝室の中央部に設置され、ドーム頂部の開口は塞がれ、彩色やオーナメントなど豊かな装飾が施される。
一般には公開されておらず、研究のために見せてもらったものも多いが、エルズルム・ウル・ジャーミーなどは観光名所でもあり、比較的訪れやすい。どの街の人も、とても気さくで優しいため、楽しいひとときを過ごすことができるだろう。日本人にはまだまだ馴染みが薄いトルコの木造建築ではあるが、イスタンブールやカッパドキアだけではないディープなトルコ建築を知る一助となれば幸いである。



[撮影者:塩野亜由美(東北大学大学院)]

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