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171 国鉄の建築

171 国鉄の建築

今回紹介するのは日本国有鉄道──通称「国鉄」──の建築である。国鉄の建築組織は逓信省や電電公社などの影に隠れ、あまり再評価がされていないが、その合理主義的実践から2度の日本建築学会作品賞を受賞するなど、当時はモダニズムの一翼を担う組織として認知されていた。
国鉄におけるモダニズムの系譜は戦前の鉄道省に遡る。鉄道省を休職し、ル・コルビュジエのもとに日本人として3人目に入門した土橋長俊と、後に日本建築学会長となるモダニスト・伊藤滋の2人によってその系譜は始まる。2人は《御茶ノ水駅》にて合理主義的鉄道建築の指針を示し、後の鉄道省・国鉄建築の方向性を決定づけた。
敗戦後、GHQの指導により国鉄が誕生する。国鉄は戦災復興等で全国に数多くのモダニズム建築を量産した。その床面積は1950年代だけで45万平米を超える。これらはほとんどがすでに姿を消しているが、往時の面影を残すものに《新宮駅》《塩釜駅》《鉄道技術研究所》などが現存する。また技術面でも《浜松町駅ホーム上屋》で建築物として日本初のプレストレスト・コンクリート構造を用いるなど、国鉄は戦後の建築界を牽引していた。
1964年開業の東海道新幹線は、着工から5年後の東京五輪までに開業という殺人的なスケジュールであった。そのなかで新幹線の各駅は徹底的に標準化、合理化を突き詰めてデザインされた。そしてその合理主義的デザインは学会賞を受賞する最大の理由となる。新幹線建築の設計を主導した受賞者は、伊藤らの影響を受けたかつての部下たちであった。開業当時12駅であった「東海道新幹線旅客駅」のなかでも《京都駅》《新大阪駅》は当時の面影を色濃く残している。
これらの建築はそれ自体が目的ではなく、鉄道輸送の手段として建設されたものであり、つねに改修改良を繰り返している。その過程で多くの作品は建て替えられ、残存する作品も竣工当時とは姿を大きく変えているものが多い。今回は往時の面影を残すと考えられる作品や部分を中心に写真を掲載した。また作品名は竣工当時のものを採用し、設計者名は判明分のみ記すこととした。設計者の個人名が不明な作品は設計部局のみ記載する。



[撮影者:志賀浩平(東北大学大学院)]

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pic  伊藤滋(鉄道省東京第二改良事務所建築課)+土橋長俊(鉄道省建築課)《御茶ノ水駅》

pic  伊藤滋(鉄道省建築課)《兵庫駅》

pic  柴田四郎(鉄道省建築課)《神戸駅》

pic  十楽寺義彦(国鉄天王寺鉄道管理局建築課)《新宮駅》 [1]

pic  十楽寺義彦(国鉄天王寺鉄道管理局建築課)《新宮駅》 [2]

pic  国鉄秋田鉄道管理局建築課《大館駅》

pic  山崎兌(国鉄東京工事局建築課)+村野藤吾(村野・森建築事務所)《池袋東口民衆駅(東京丸物)》

pic  国鉄仙台鉄道管理局建築課《塩釜駅》

pic  井原道継(国鉄東京工事事務所建築課)+山内誠ニ(極東鋼弦コンクリート振興)《浜松町駅ホーム上屋》

pic  大木健次(国鉄東京工事局発電所課)《鉄道技術研究所》

pic  巾下弘三(国鉄天王寺鉄道管理局建築課)《鳥羽駅ホーム上屋》

pic  山口裕, 山崎兌(国鉄東京建築工事局)《新宿東口民衆駅》

pic  田中進一郎(国鉄大阪工事局建築課)+佐野正一(安井建築設計事務所)《天王寺民衆駅》

pic  国鉄東京第一工事局建築課+鉄道会館設計部《大宮東口民衆駅》

pic  国鉄大阪鉄道管理局建築課《大阪変電所》

pic  沢健一(国鉄大阪幹線工事局)+太田和夫(鉄道会館設計部)《新大阪駅》

pic  沢健一(国鉄大阪幹線工事局)《京都駅新幹線口》

pic  国鉄下関工事局建築課《熊本駅》

 


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