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160 メタボリズム

160 メタボリズム

2013年6月から9月末までメタボリズム建築の見学を断続的に行なった。
メタボリズムは生物学用語の新陳代謝を応用し、変化や成長が可能な建築・都市の構想を目的として結成されたグループであり、1960年代の日本建築独自の運動である。建築家の菊竹清訓、黒川紀章、槇文彦、大高正人、建築評論家の川添登、デザイナーの粟津潔、栄久庵憲司で構成され、彼らは次々と架空のプロジェクトを打ち立て、同時に実作をつくっていった。1960年代は彼等が建築家として活躍し始める時期と重なり、これらの建築は地域の特性とは無関係に日本各地に散らばっている。メタボリズム建築というと定義が曖昧なので今回は1960年代の菊竹、黒川、槇、大高に加え、丹下健三の作品を取り上げる。丹下健三は直接的なメンバーではないが、メタボリズムを語るうえで重要な位置を占める。丹下研究室の門下生に黒川、槇、大高がおり、丹下自身もメタボリズム・グループのお披露目の場であった1960年の世界デザイン会議では実行委員を務めるはずだった。しかし彼自身はMITの客員としてアメリカに滞在していた。そのためデザイン会議の取りまとめは当時丹下の右腕だった浅田孝が行なった。そのため代表作である《広島平和記念資料館》《香川県庁舎》《静岡新聞・静岡放送ビル》《山梨文化会館》の4作品も含めた。
実際に見ていくと、建築家の想定した未来とは関係なく、使用者の需要によって増築がなされている事、そしてあくまで自治体の裁量で建築の寿命が決まっていくことがわかった。県民性によって決まるといってもいい。丁寧に修繕されながら使われているものは当時の趣が感じられるが、建築に時間の概念を組み込んだメタボリズムの建築が、皮肉にも硬直してしまっていると考えることもできる。一方で解体事例も少なくない。《中銀カプセルタワービル》は取り壊しの危機に陥り、日本建築学会やDOCOMOMO等の保存運動により、解体を免れ、現在カプセルが改修中である。見学時は、建物全体にネットがかけられていた。《久留米市民会館》は老朽化のため改修が追いつかず、取り壊す方針となっている。奇しくも菊竹の実験的な試みが随所に見られる作品である。同じく菊竹設計の《岩手県立図書館》は《もりおか歴史文化館》としてコンバージョンされている。
建て替えか改修か、戦後近代建築への風当たりが強いなか、メタボリズム建築もまた存続するか否か節目の時を迎えている。



[撮影者:森翔太(東北大学大学院)]

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