「10+1 website」4月号では、座談「生環境の環を歩きながら『地球の声』に耳を澄ます」を公開し、多くの反響をいただきました。生環境とは、地球活動と社会構造の関係性を原理0〜4の階梯で示した概念です。座談では、産業革命以降地球活動から自立し、人間にとって合目的的な環境を構築した「原理3」を批判的にとらえ、地球環境との諸関係を再構築する「原理4」のあり方が議論されました。このとき建築・都市とはどういうものか、例えば人類学やメタフィジカルな議論とともとに考えてみたいと思います。
20世紀の人類学では、近代的な西洋の人間(human)を主体として世界を認識し、人間以外のもの(non-human)や非人間(inhuman)は主体の外部として扱われてきました。しかし、近年の人類学では人間、動物、植物、精霊など、あらゆる存在は主体としてあり、互いにパースペクティブを構成しあうとする存在論的転回(多自然主義、パースペクティビズム...)が議論されています。本特集では、単一的主体のゆらぎや主体同士の相互連関といった思考から建築・都市を捉え直すことを試みます。
能作文徳氏(建築家)、川島範久氏(建築家)、上妻世海(文筆家、キュレーター)による2回の鼎談、松田法子氏(建築史、都市史)による論考に加えて、12月に仲山ひふみ氏(批評家)による論考を追加掲載しました。この時代の不確実性を切り抜けるテキスト、ぜひお読みください。