複雑化する都市や、刻一刻と変化する社会状況を捉えるために、私たちは代補としてのノーテーション(表記体系)やカルトグラフィ(地図作成法)に囲まれています。高度に情報化し、格差と分断がひろがる社会のなかで、いまどのように都市を捉え記述し、考えることができるのでしょうか。「『もの』の規定を精緻化することと、一方においては『こと』をデザインすること」。都市計画家や建築家は、その幅のなかで現代都市の不確定性をいかにして記述するか──。「ノーテーション/カルトグラフィ」の関心は、多様化するメディア環境において再考すべき問題を含んでいます。本特集では、八束はじめ氏によるノーテーションへの関心の軌跡と、第一線で活動する80年代生まれの研究者や実践者4名による論考を掲載し、インターフェイス、グラフィック・デザイン、VR、模型といった思考モデルの考察を通して、時間や空間の考え方、社会との交点を捉え直します。