201711

庭と外構

設計における空間中心主義への反証の試みが、さまざまなかたちで勢いづいています。ジークフリート・ギーディオン『空間・建築・時間』(1940)が決定的に普及させた「空間」概念は、「具体の事物に先立ち、純粋に精神のみによって構築可能な体系へと昇華したのであり、その根底には、意思によって論理的に世界を認識し、現実を思弁的に征服しようとする態度を見出すことができる。こうした態度こそ、『近代精神』と呼ばれるべきものの表われ」★1であって、さまざまな反証の試みは、建築の新たなリアリズムの探求と言えるでしょう。
例えば、増田信吾+大坪克亘《躯体の窓》(2014)では躯体と窓と庭、《始めの屋根》(2016)では軒と庭の境界付近の操作を重ね、中川エリカ《桃山ハウス》(2017)では塀や庭と同質の秩序形成が試みられています。「庭」とは、「外構」とは何か。門脇耕三氏による考察、増田信吾氏+中川エリカ氏の対談、中谷礼仁氏の論考とともに考えます。

★1──門脇耕三「反-空間としてのエレメント」(10+1 website、2015年2月号)

庭園と建築、その開放

門脇耕三(建築家)

庭的なるもの、外構的なるもの
──《躯体の窓》《始めの屋根》《桃山ハウス》から考える

中川エリカ(建築家)+増田信吾(建築家)

市街化調整区域のBuildinghood

中谷礼仁(歴史工学家)

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