201710

建築の公共性を問い直す

建築における市民参加は、高度経済成長期における行政主導の計画への批判として、建築を住民が取り戻すための運動として始まりました。以降、市民参加の手法や意思決定のあり方をめぐって、さまざまな議論や試みが行なわれきました。現在、被災地や過疎化が進む地域、首都圏の住宅地など、複雑な背景を背負う公共的な空間において、どのようにして住民/市民が建築に関わり続けることができるでしょうか。特集では、社会における建築の公共性をあらためて考察します。
金沢21世紀美術館キュレーターの鷲田めるろ氏の論考では、国内外の事例を参照しながら公共の概念や建築家の役割を問い直します。MARU。architecture(高野洋平氏×森田祥子氏)による論考では、日本における建築の市民参加の系譜を振り返り、今日的な課題と論点を示します。これを受けて、5つのプロジェクトのケーススタディを掲載し、建築が公共性を得るための試みや課題をさまざまな角度から提示します。
本号は、2017年2月号の特集「ワークショップと建築設計の最前線」の続編としても位置づけられ、市民参加やワークショップのあり方を批評的に再考します。

公共の概念と建築家の役割

鷲田めるろ(金沢21世紀美術館キュレーター)

公共建築における市民参加の系譜
──多元的な建築を目指して

高野洋平×森田祥子(建築家、MARU。architecture)

ケーススタディ:長野県塩尻市
──《塩尻市市民交流センター えんぱーく》

柳澤潤(建築家、コンテンポラリーズ/関東学院大学准教授)

ケーススタディ:岩手県陸前高田市
──《陸前高田市立高田東中学校》

日野雅司(建築家、SALHAUS/東京電機大学准教授)

ケーススタディ:宮城県牡鹿半島鮎川浜
──《おしか番屋》

萬代基介(建築家)

ケーススタディ:神奈川県横浜市
──《丘の町の寺子屋ハウス CASACO》

冨永美保×伊藤孝仁(建築家、tomito architecture)

ケーススタディ:長崎県福江島
──《富江図書館さんごさん》

能作淳平(建築家)


連載:学ぶこととつくること──八戸市新美術館から考える公共のあり方

第1回:森美術館からの学び

高島純佳(森美術館ラーニング・リーダー)+白木栄世(森美術館アソシエイト・ラーニング・キュレーター)+西澤徹夫(建築家、西澤徹夫建築事務所主宰)+浅子佳英(建築家、タカバンスタジオ主宰)+森純平(建築家、PARADISE AIRディレクター)


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