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都市こそが、答えである。予感されていた都市の可能性が、全世界的なアーバニゼーションの進行のなかで、今、確かな手応えとともに道標へと変わりつつある。リオ・デ・ジャネイロのサミットが準備をした文脈に、ヨーロッパのコンパクトシティ論が応答し、アフリカの実践論者が理論の拡張を試みる。サステイナブル・アーバニゼーションという言葉には、こうした1990年代の都市論の変容の軌跡が織り込まれている。それは省エネルギー論や素材論、情報論や交通論など、同じく1990年代に大きく展開した技術論の豊穣を編集しながら、われわれに世界と都市へ関わる回路を差し出しつつあるのだ。われわれは常に部分を見ることしかできないから、世界や、63億の人々の姿は、けっしてその全体性を開示することはないであろう。しかし全体性をめぐる想像力のうちに、差異と同時に類似を、自律とともに交通を志向しようとする視座が育まれてきたのだと私は思う。だからこそ、アーバニゼーションへの注視を通して、一般性の名において都市の存立を語ろうとする、2000年代の都市論が用意されはじめたのだろう。それは確かに、われわれの実践の射程を遠くへと導いている。 [おおた ひろし・建築家] |
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