作者=コリンヌ・ティリ(建築家)
グラフィック・デザイナー=フィリップ・デルフォルジュ
マルチメディア・エンジニア=ジャン・ピエール・コシュラン/BIG-BANG
制作=AFAA/CDC/IFA(パリ)

訳=篠儀直子

筆者は建築家で、1990年代、研究とコンペ参加をしながら、2年間を日本で過ごした(京都、および東京)。山手線駅と周辺都市エリアの調査を1997年に行なった(フランス外務省の助成金による)のち、フランス建築協会(IFA)の依頼で、このフィールドワークの結果を展示した。この機会に私はスペシャルチーム(私自身とグラフィック・デザイナー、コンピュータ・プログラマー)を編成し、池袋、新宿および渋谷に焦点を当てたCD-ROM〈東京の3つの駅から学ぶ〉を作成した。このCD-ROMの展示は2000年9月にフランス建築協会で行なわれた。

東京の駅における建築的および都市的ディスプレイを、都市のリアルなフラグメントとして描くため、このCD-ROMには3つのレヴェルが設定されている。

1――建築の小旅行(新宿のみ)
2――都市の小旅行(渋谷のみ)
3――旅(3駅とも)

それぞれのレヴェルのために特有のテーマを選ぶことで、内容と、都市およびその市民に対し駅ビルがもたらすインパクトが示されている(ナヴィゲーション・マップ参照)。
最初の2つの小旅行には、表象の道具(地図、図面、セクション)だけでなく写真、ヴィデオ、サウンドも混在し、テクストはほとんどなく、駅とその都市エリアについての完全なヴィジュアル=サウンドスケープが作り出されている。 第3の旅にはもっぱらヴィデオが使用されるが、その使用法は異なっていて、東京のリアルな通勤者たちの感覚とインタヴューを見出そうとするものである。 ナヴィゲーションは、学習メソッドとして構想されている。動き(たとえば転がること)によって情報がキャッチでき、また、駅およびその都市環境の構築もしくは脱構築による、感覚の変化もキャッチすることができる。 グラフィック・デザインは、東京の駅に見られた絶え間ない動きの感覚を、つねに補強してくれている。本サイトで見られるのは、動画ではない画面のみだということをご承知願いたい。
実際のCD-ROMヴァージョンは主にフランス語によるものだが、キー・ワードは日本語でも書かれており、短い紹介文はフランス語と英語、東京の通勤者たちのインタヴューはフランス語、英語、日本語による。

都市のあらゆる機能は山手線の結節点に集まっている。何十万もの人々が毎日この路線を利用しているのだが、この路線のどこに位置するかによって、不動産価格、都市の密度、および都市構造は決定されている。東京の鉄道網において最大の中心的結節点を成している3点、すなわち池袋、新宿、渋谷には、デパートやレストランだけでなく、ゲームセンターやスポーツセンター、それからアートギャラリーもある。つまりエキサイティングなプログラムが、こうしたメガストラクチャーのダイナミックな生活を作り上げているわけだが、逆説的にもそこの建築的品質はゼロであり、美学的価値も貧困なものだ。
しかし、都市のレディメイドと思われている大都会の「駅ビル」(文字どおり、駅のビルディング)は、都市開発という点において、他のいかなる計画的メガストラクチャーにもまさるポテンシャルをもっている。その身体はプログラム、活動、雰囲気およびブランドを絶えず吸収しているが、そこにはパラノイア的感覚はなく、有機生命体を特徴づける経済競争の表現としてこれはなされている。 その建築形態の混合性は、都市それ自体と同様、進行中の作品と呼応している。いっせいにではなくばらばらと追加され、成長し続ける輸送ネットワークへと接続された、さまざまな私鉄会社の建物が並立していることにより、明白な合理的組織をまったくもたない、インフォーマルで流動的な領土が作り出されている。けれども、これら3つの象徴的事例をつぶさに見ていくと、建築的および都市的スケールにおいての安定した原理と戦略も明らかになる。
駅ビルを複雑で流動的な結節点として分析したとき、見えてくるのは輸送ネットワークと交差する垂直建築である。これはヒエラルキーおよび巨大広告機械のなかに組織されている。そのヒエラルキーは転倒可能でありながら、プログラム的である。そしてこの巨大広告機械は、独自のアーバンスケープを規定している。ダウンタウンと郊外をオーヴァーラップさせているコンテナにパックされた、都市の多機能的部分であるこれらの駅は、都市のホッチキスと呼ぶべき、領土的再接続を行なう場なのである。
たとえば、こうした場の内部のディスプレイは、ショッピングモールからはほど遠い。それはいくつかの空間の組み合わせから成り立っており、これらの空間はさまざまなレヴェルにおいて、物理的限界なしに広がっている。外部には「広場」(文字どおりの広い場所、屋外「待合室」)、「交番」、およびルーフ・ガーデンが、駅ビル環境にとって一定不変の特殊な構成要素として集められている。
以下のイメージとテクストは、東京の3つの鉄道駅における、空間的ならびに都市的な環境を探究するものとして構想されたCD-ROMの一部である
 
case A
A.1A.2A.3
case B
B.1B.2B.3
case C
C.1C.2C.3


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