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松田──[スイスにある]4つの種類の学校のうち、建築を学んだ日本人が行く可能性のあるのはどこでしょうか。
堀井──Gymnasium(工業専門学校)というのはもっぱら図面を書いたり模型をつくったりと技能教育の一番基本になっているようなところなのですが、日本の大学で一度技能教育を受けた人なら、たぶんGymnasiumは選択肢に入らないんじゃないかな。そうすると、Hochschule(工業大学、単科大学)かUniversität(総合大学)か、Fachhochschule(専門大学)になります。そのなかで特によく知られている学校は、僕がかつて勤務していた、スイス連邦工科大学(ETH)ですね。......
出演者プロフィール
堀井義博
1967年大阪生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部住環境学科卒業、同大学大学院博士前期課程造形工学専攻修了。2002年より0110110 architects 設立。2006年より東海大学工学部建築学科非常勤講師。
http://www.0110110.com/
関連項目
全体討議「学生時代にやっておくべきこと」配信スケジュール
1. 製図室で何をすべきか?│堀井義博 3/2(月)
2. 勉強会のススメ(仮)│五十嵐太郎 3/9(月)
3. 大学院になんていかなくてもよい?│大成優子+樫原徹 3/16(月)
4. 建築と就職│山田幸司+倉方俊輔 3/23(月)
5. 海外を目指す│堀井義博 3/30(月)
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今村──あらためて作品集を見てみると、一つひとつの作品が非常に丁寧につくられています。初期の作品から通底するテーマがあきらかになって、うまく編集されていると思いました。この本には阿部さんのテキストがないんですね。作品解説にいたってもそう。経歴すらないんです。それくらい、咀嚼して本にしている。いまアクティヴに活動している建築家のモノグラフとしては、画期的な本だと思います。内容に関しては、造形の点から3つに分類されていて、テキストを読むと学生時代から、形をどのように決めていったらいいか悩んでいたことがよくわかる。......
出演者プロフィール
今村創平
1966年東京生まれ。1989年早稲田大学理工学部建築学科卒業、1990-1992年AAスクール(英国建築家協会建築学校)、1993-2001年長谷川逸子・建築計画工房勤務、2002年(有)アトリエ・イマム一級建築士事務所設立。
http://www.atelierimamu.com/
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ポロック──私は、シカゴ美術館のキュレーターとして、日本の公共建築に関する展覧会を計画していました。......展覧会の研究で初めて阿部さんに会いました。若くて外国で勉強した建築家が大事なコンペに勝利したことにびっくりしました。しかし説明を聞いて納得しました。決まったビルディングタイプのタイポロジーをもちいて、新しい形と新しい機能をつくったからです。さらに、ランドスケープも含め、スタティックな建物をダイナミックな建物に変化させました。......
出演者プロフィール
ナオミ・ポロック
ハーバード大学出身。1988年文部省の奨学金を得て東京大学原広司研究室で修士論文を執筆。『Architectural Record』『a+u』『The New York Times』『Wallpaper』などにて日本の建築状況を伝える。著書に『Modern Japanese House』(Phaidon Press、2005)、『Japan 2000: Architecture and Design for the Japanese Public』(Prestel、1998)。
堀口徹
1972年オハイオ州生まれ。1995年東北大学工学部建築学科卒業。1997年同大学大学院修士課程修了。1999年オハイオ州立大学Knowiton School of Architecture建築学修士課程修了。2003年東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻博士課程修了、博士号(工学)取得。2003年同大学大学院都市・建築学専攻リサーチ・フェロー。2006年より東北大学助教、カリフォルニア大学バークレイ校客員講師。
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山田──僕の場合は大学院に行くというイメージをまったく持っていなくて、卒業したらとにかく早く設計事務所に行って経験を積んで一人前の建築家になりたいと思っていました。歴史などは明確な学問ですが、設計はやはり職能である部分が非常に大きい。......本で勉強する知識では限界があるんですよ。現場に行って実際に見ると、本に書いていない解決法を思いついたり、新しいデザインの可能性というのを生む切っ掛けになるんですね。......"
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倉方──今の時代は、人間の寿命よりも会社の寿命の方が短いとよく言われますよね。......もう一生同じ会社に勤めることはありえない。職種も、もしかしたら自分の勤労年数より短い可能性は充分あり得るわけです。そんななかで個人がサヴァイヴしていくためには、「つぶしがきくか」が重要な要素になってくると思うんです。建築学科が、「建築」という枠組みがなくなったあとでも、サヴァイヴしていけるような学科であれば、みんな来ると思うんですよね......"
出演者プロフィール
倉方俊輔
1971年東京都生まれ。建築史家。博士(工学)。慶應義塾大学・芝浦工業大学非常勤講師。著書に『吉阪隆正とル・コルビュジエ』『東京建築ガイドマップ』ほか。
関連項目
全体討議「学生時代にやっておくべきこと」配信スケジュール
1. 製図室で何をすべきか?│堀井義博 3/2(月)
2. 勉強会のススメ(仮)│五十嵐太郎 3/9(月)
3. 大学院になんていかなくてもよい?│大成優子+樫原徹 3/16(月)
4. 建築と就職│山田幸司+倉方俊輔 3/23(月)
5. タイトル未定
※全体討議は毎週月曜日配信予定です。
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松田──建築家2.0というヴァージョン・アップした建築家として、〈地域社会圏〉という建築と都市と社会の接点に、理顕さんが向かわれているように思います。
山本──単純に〈地域社会圏〉という400人くらいの単位にしただけで、圧倒的に効率がいいんですよ。電力の供給にしても、その場で発電して熱をつくって供給した方がはるかに安いしね。ゴミにしても、高齢者へのサービスにしても、圧倒的にその中で考えた方が有利なんですよ。いま与えられている社会システムの内側だけで考えていくことは、完全に破綻しているわけだから。建築家が思っているよりも、20世紀につくった建築のシステムというものは、国家に非常に強い影響を与えているはずなんですね。 "
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荒田──建築家の自邸は、施主=自分というところが魅力的で、いろいろな実験が可能ですよね。ある意味、理想的なプロジェクトだといえるんじゃないかと思います。この本は、建築の設計の実験の他にも、住宅ローンの実験、ライフスタイルの実験、都市の実験という、大きく4つの実験を試みていて、その辺がすごく特徴的で面白いと思って紹介いたします。
松田──「新しい郊外」に括弧がついていて、積極的に郊外であることの有用性を使うというのは、新しい概念で面白いと思いました。
関連項目
『「新しい郊外」の家』
発行所:太田出版
発行日:2009年1月14日
著者:馬場正尊
判型:175×130mm
頁数:207頁
定価:1,554円(税込)
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大成──まだ[大学院に]行けるっていうのが選択肢として残っているんですね。妹島事務所のときに外国から来ている人がいて、「外国だと学部を出て社会に出た後に、もう一回院に戻ってくるなんて普通だよ」「なんで日本の人はみんなそのままいっちゃうの」って言われて。それがすごく新鮮で。そのころはこういう研究をしたいというものがなかったけれど、[社会に出て]実際に何かをつくってみたり、手を動かしてみたりすることを通して、自分の興味のあることが絞られてくることで、今だとこういうことなら調べてみたいとか、こうすればいいかなとか、逆に冷静に見えてくるという気がします。
出演者プロフィール
大成優子
1974生まれ。東京工業大学工学部建築学科卒業。1997-2002年妹島和世建築設計事務所勤務。2002年大成優子建築設計事務所設立。京都造形芸術大学非常勤講師。受賞=JCD デザイン賞2003大賞(2003)、第24 回INAX デザインコンテスト入賞(2003)、卒業設計大岡山建築賞銀賞(1997)。
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樫原──東京に来て、原広司先生が退官するときの研究のお手伝いをしたんですね。それが人口問題を都市の問題として考え始めるきっかけでした。同時代にMVRDVが同じことをはじめていて、そういったことを展開したいなと思って進学しました。でも、まじめに研究していたかのように装っていますが、松田くんとも一緒にいろんなことをやりました。ランドスケープの設計を一緒にやったり、ちょっとしたコンペに勝って実施の仕事があったりと、メンタリティとしてはプロの設計者という気分を延長したかったということもあったんですね。
出演者プロフィール
樫原徹
1972年兵庫県生まれ。建築家。明治大学、横浜国立大学非常勤講師。1996年京都大学工学部建築学科卒業。1998年東京大学大学院修士課程修了。2001年東京大学大学院博士課程中退。受賞= ジャパンアートスカラーシップ最優秀賞(1999)、D&AD賞 Silver Awards(2008)
関連項目
全体討議「学生時代にやっておくべきこと」配信スケジュール
1. 製図室で何をすべきか?│堀井義博 3/2(月)
2. 勉強会のススメ(仮)│五十嵐太郎 3/9(月)
3. 大学院になんていかなくてもよい?│大成優子+樫原徹 3/16(月)
4. 建築と就職│山田幸司+倉方俊輔 3/23(月)
5. タイトル未定
※全体討議は毎週月曜日配信予定です。
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山本──施主というのはさまざまな形をとります。地方公共団体であったり、民間デベロッパーであったり、個人住宅の発注者であったり......。それらを全部施主と呼ぶのはまず間違いではないか。例えば、地方公共団体は施主じゃないんです。発注者ではある。発注者が市民のお金で、発注の手続きをしているに過ぎないわけだね。その発注者の意見と、われわれ建築家とのあいだだけでものをつくるというのは、ちょっと違うんじゃないかと。われわれ建築家が発注者の方向だけを向いていると間違えちゃうんですよね。そこには最終的には住む人がいるんですよね。その住む人の方を誰が見るのかというと、建築家が見るしかないんですよね。"
パリの都市と建築について
伊藤俊治+五十嵐太郎+林要次+松田達
2009年2月 4日 東京藝術大学美術学部にて MP3 18.5MB 40'23''
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伊藤──ずっと装飾が抑圧されてきたこの現代に、もう一度新しいかたちで装飾の意味というものが問われていくんじゃないのかなという予感があります。そういう視点でパリの19世紀末から20年代、30年代あたりの建築を見たときに、装飾と近代建築のさまざまな問題が具体的なかたちになって表われている気がして、特にファサードの問題や都市の美化の手法であるとか、そういったことをもう一度洗い出してみることが大切かなと......。100年経った現在、新しい素材とか新しい装飾による問題が、だんだん浮上してくるような気がしています。
出演者プロフィール
伊藤俊治
1953年秋田生まれ。1980年東京大学文学部史学科卒業。1983年東京大学大学院人文科学研究科修士課程(西洋美術史専攻)修了。現在、東京藝術大学美術学部教授。
安藤忠雄について
五十嵐淳+山田幸司+五十嵐太郎+脇坂圭一+佐藤敏宏+鈴木茜
2008年12月 2日 仙台某所 MP3 6.6MB 14'18''
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五十嵐淳──いまにして思うと、なぜ安藤さんに惹かれたのかということをそれから客観的に考えるようになってきて、密室性というものを、どうも僕が好きだと言うことが分かってきて。密室的な空間に見えるんですよ。開口があるんですけど、開口ではないんですね。もう一つ僕は、同時に篠原一男さんにも強烈に惹かれることになって、篠原さんの写真も後からよく見ると、開口という概念で写真を撮ってないものがほとんどで、わざと窓を外して、でもこちらから光が差し込んでいるんだけど、窓を映したくないみたいな写真の撮り方をしている......
勉強会のススメ
五十嵐太郎
2008年2月 6日 国士舘大学スカイラウンジ MP3 14.1MB 30'43''
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五十嵐──バンドをずっとやっていて、見事に大学院の試験に落ちました。落ちてからはひたすら建築のことをやっていたんだけど、大学院のときには4つか5つの読書会をまわしていたんです。多分、全部出ていたのは僕だけだと思います。読書会は、複数の人がお互いどう考えているかも知れるし、レジュメにコンパクトにまとめる能力もつく。いま思うと相当大きな財産になっています。そういえば東浩紀も一年のときからやっていたよね。松原弘典くんも東くんと同人誌をやっていて、まずそれで名前を覚えるんだよね......
関連項目
全体討議「学生時代にやっておくべきこと」配信スケジュール
1. 製図室で何をすべきか?│堀井義博 3/2(月)
2. 勉強会のススメ│五十嵐太郎 3/9(月)
3. 大学院になんていかなくてもよい?│大成優子+樫原徹 3/16(月)
4. 建築と就職│山田幸司+倉方俊輔 3/23(月)
5. タイトル未定
※全体討議は毎週月曜日配信予定です。
まちと建物と人を活かすということについて
清家剛+新堀学+田村誠邦+五十嵐太郎+八木晴之+彦坂尚嘉+寺崎悠真+遠山元気 +小川弾+落合正行+浜田由美
2008年1月11日 箱根の田村誠邦さんの別荘にて MP3 14.8MB 32'18''
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新堀──2004年4月にオープニングがあり、いまメンバーの人数は45人います。最初にはじまったのが、下田のプロジェクトなんです。勝手に下田に押し掛けて、レポートをつくったというところからはじまっています。
南──現実問題として、もっとも関心があるのはお金だと思うんです。まちの衰退を問題とした活動に関心をもっている人はたくさんいると思いますが、予算がないと動かないということはあると思うんですね。それに対して、どういう工夫をされているか、そういうことをお伺いできればと思います。
清家──いいことばっかりいってもしょうがないと思うんですよ。「お前らいつまでうちの地元に本気で死ぬ気でつきあってくれるのか?」という質問には、つねに晒されます。ちゃんと議論したいと思っていますが、その距離感に関しては、まだそんなに自信を持ってできているとはいえないんです。"
製図室で何をすべきか?
堀井義博
2008年2月 6日 国士舘大学スカイラウンジ MP3 10.1MB 22'06''
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堀井──僕は、「レム・コールハースに会わなかったら俺の人生はじまらないじゃん」と思って、会いにいきました。いまの学生がもしコールハースに会いにいこうと思ったら、何の苦労もいらない。なぜか? [インターネットに]キーワードを叩き込めば、すぐに情報が出てくるから。でも僕のときは大変だったんです。まず住所さえ分からない。住所が分からなかったら、オランダに行ったところで広いんだから......(笑)いまは自分の頭に接続されている自分以外の知識のストックがいくらでもあって、それが毎日増えているんです。それを使わないっていうのはおかしい。
五十嵐──要するに、いまの学生はもっと徹底的に使えってこと?
堀井──そうそう。
出演者プロフィール
堀井義博
1967年大阪生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部住環境学科卒業、同大学大学院博士前期課程造形工学専攻修了。2002年より0110110 architects 設立。2006年より東海大学工学部建築学科非常勤講師。
http://www.0110110.com/
関連項目
全体討議「学生時代にやっておくべきこと」配信スケジュール
1. 製図室で何をすべきか?│堀井義博 3/2(月)
2. 勉強会のススメ(仮)│五十嵐太郎 3/9(月)
3. 大学院になんていかなくてもよい?│大成優子+樫原徹 3/16(月)
4. 建築と就職│山田幸司+倉方俊輔 3/23(月)
5. タイトル未定
※全体討議は毎週月曜日配信予定です。