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〈やぶれた空間〉とは何か。以前から、日本の空間は撮影しても、現像した写真を見ると、そこがどこであったかさえわからなくなってしまうような不可思議さを覚えていました。そこで偶然、京都で教えることになったのを機に、建物の種類や史的な系譜などは考えずに、単純にそこにある空間の経験を自分なりに考えてみようとしたのです。われわれが持つ近代建築のフィルターは5つくらいあるわけですが、そのフィルターを通してみた日本の空間には、捉えられるものと、なおかつ、それでも捉えきれないものがあります。それが何なのか考えているうちに出て来たのが、「やぶれている」というキーワードです。