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96 ダッチモダニズム

ダッチモダニズムと題して、主にJ・ダウカー、M・ブリンクマン、J・J・P・アウトの作品紹介をする。
1930年代前後を代表するこうしたオランダの建築家たちの作品は「ダッチモダニズム」と呼ばれることもあり、同時代に他国で活躍していたル・コルビュジエ(《サヴォア邸》[1931])やミース・ファン・デル・ローエ(《バルセロナ・パビリオン》[1929])らの活動とともに当時のひとつの大きな建築潮流と捉えられる。コルブやミースを横目で見ていた(あるいは見られていた)彼らは、おそらく同じようなことを考えていたと思われるし、建築の新しい方向性を探っていた。
ダウカーによる建築の解説書を手に取ると構造体をアクソノメトリックで記述し分析をしているものが多く(NAi[Nederlands Architectuurinstituut]の図書室で詳しいものを閲覧できる)、実際に建築を訪れてもその明確な構成の解き方は、敷地に対する配置や開口の仕草に考慮しており具体的で実践的な側面が読み取れる。社会的には彼らの手法の明確さと、その言葉とデザインの一致は、一般の人(デザインの領域にいない人)にとってはコルブやミースに対しまだ受け容れやすかったのではないだろうか(最終的なモダンな出で立ちは別として)。 プロパガンダを唱えたコルブやミースと平行して、オランダの「ダッチモダニズム」から確実に良質な建築が生み出された。
そのように確信を持てたのは彼らの建築にも仕掛けとして空間的魅力を備えているからだ。そしてその多くがいまも用途変更などしながら改修や保存によって使用されている(例えばヒルベルサムの《第3技術学校》[ダウカー]を見たか! 2階から3階にあがるときには認知していた開口が2階踊場から3階に上がるときに振り返った瞬間、一気にガラスブロックから拡散光が目に飛び込んでくる)。

★1──ヨハネス・ダウカー《サナトリウム ゾンネストラール》:http://www.zonnestraal.org/
★2──M・ブリンクマン&ファン・デル・フルト《ファン・ネレ工場》:http://www.ontwerpfabriek.nl/
★3──J・J・P・アウト《キーフフゥク集合住宅》:http://www.rotterdam-archiguides.nl/nl/lokatie/kiefhoek.html
★4──ヨハネス・ダウカー《第3技術学校》:http://www.d3a.nl/
★5──04、05[オランダ1、2][撮影:五十嵐太郎]
https://www.10plus1.jp/archives/2001/03/10000000.html
https://www.10plus1.jp/archives/2001/04/10000000.html



[撮影者:team 午前五時]

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