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72 アンコールワット

開店休業が久しく続く田舎建築士の私は「まったく銭がない」秋の空のように遠くまでカラッポ。2006年9月末に小さな危機がやって来た。世帯に転入者があり50万円ほど国民健康保険税が追加され支払えない。課税の根拠は国民健康保険法と地方税法とそれらにともなう施行令・細則・条例だ。払う能力がない私に課税するのは腑に落ちない。法の解釈が異なっていると思う。異議申し立てをすべく市役所に出向き担当者と大きな声で話し合って居ても意見の相違からいきなり射殺されることはない。私が訪ねたカンボジアは法も政府もなかったので「誰でも射殺してから事を起こす」とガイドは言う。戦後60年ほどもめ事の基である意見の相違の存在は、法によって保障されている。もめ事が表面化し社会化すればするほどそれぞれの者にとっての自由のありかが証明されているわけだ。ザッパに言えば職場でも家でも政治・行政の場でも日々大いにもめるべし! それこそが美しい国。

ガイドの説明によると 国連より明石さんが派遣され調停が済みじきにシハヌーク殿下が戻って来て「国づくり」が開始されるとのこと。カンボジアの町を行き交う高級乗車は3,4人乗り!のホンダ・スーパーカブ号で、路傍ではペットボトルに桃色のガソリンが詰め売られていた。泥棒はしょぼく行き交うカブ号の前に立ちはだかり運転手たちをいきなり射殺、カブ号に乗りオサラバする。警察はいても留置所と犯罪者に食わせる食料がない。裁く法もないので捕まえない。「殺されないようにしてください!」とカンボジアの地を踏んだ途端に聴かされた。カンボジアは「なんにもない」絶好のトラブル地(旅行先)だった。今日のイラク戦後状況より「ちょいまし」かだったかもしれない。アンコールの遺跡群は多数で広大な規模と面積なんだそうだ。そこには戦車も地雷もあり、ガイドの制止も聴かず奥に踏み込むと威嚇射撃をされた。そんな場の少しの片隅を駆け足で撮った古い写真データの一部を公開することができました......。ホッ?!(続く)

カンボジア語でWatは「寺院」、Angkorは「城壁をめぐらした都市」。ノコ−ともいいう。サンスクリット語のナガラから変化した語。(『アンコールの遺跡──カンボジアの文化と芸術』、今川幸雄・川瀬生郎編、霞ヶ関出版、1969)

佐藤敏宏(建築家/TAF設計)
http://www5c.biglobe.ne.jp/~fullchin/p2/p-2.htm



[撮影者:佐藤敏宏(建築家/TAF設計)]

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