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68 日本の寺社/茶室

自身の建築感や具体的設計において、和建築は多くの知恵とヒントを与えてくれる。十数年前から暇を見つけては京都、奈良などに出向き、和建築回りをしている。意外にも子供のころ修学旅行で訪れたメジャー古建築にずいぶんと学ぶべきことを発見することが多い。
例えば東山慈照寺(銀閣寺)。銀閣(観音殿)や月山の庭園が有名だが、慈照寺内の東求堂は、まだ茶室の概念がない当時の書院での茶室の原型を見ることができる。書院に床の間らしきものが見られるが、床の間がまだ意匠的に確立されていないころのものだ。炉もない。ここから数百年を経て利休の待庵に代表される草庵茶室へと移り行く。ちなみに利休の待庵もまだ茶室の意匠が確立される直前の原型だ。
平等院は、大陸から入った建築様式をもとに日本建築の意匠のスタートともとらえられる。原初的な木造技術も見て取れる。小細工がなく豪快だ。ここ数年で日本の原点ともいえる州浜の浄土式庭園、平橋反橋も復元されて、さらに日本建築の原点を感じられる。
伊勢神宮はいわずと知れた日本建築の代表中の代表だ。式年遷宮という他に類を見ない建築様式により、代わることなく面々と受け継がれる丸太柱露出の建築は、弥生時代の高床式倉庫から発展した真の意味での日本建築の原点だ。伊勢神宮の正殿は神明造りと誤解されることが多いが、独立した建築様式で「唯一神明造り」といわれる神明造りとは一味違う独特の様式だ。
ここ1、2年は、国宝茶室回りをしている。愛知県犬山市の織田有楽設計の有楽苑如庵。千利休設計の妙喜庵待庵。いずれも茶室の中で解説を聞き、有楽や利休を感じる貴重な時間を過ごさせていただいている。もうひとつ国宝の茶室に小堀遠州設計の密庵がある。密庵はまだ訪れていないが、いずれ訪れたい。
ここでは写真がないため、解説できないものもあるが、奈良の平城宮には当時の建築が復元中も含め多数建設されている。また明日香村では近年、飛鳥京跡等が多く発掘されている。いずれ復元等がなされると思うが、和建築回りに終わりはなさそうだ。



[撮影者:山田幸司(建築家/山田幸司建築都市研究所主宰)]

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pic  平等院[1] [2] [3] [4]

pic  伊勢神宮外宮[1] [2] [3] [4]

pic  伊勢神宮内宮[1] [2] [3] [4] [5] [6]

pic  聴秋閣[1] [2] [3]

pic  東山慈照寺

pic  有楽苑如庵[1] [2]

pic  妙喜庵[1] [2] [3] [4]

pic  西本願寺飛雲閣[1] [2]

pic  臨済宗大徳寺派慈光院[1] [2]

pic  東大寺

pic  元興寺十輪院本堂

pic  法隆寺

pic  平城宮朱雀門復元


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