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199 インドのバンガロー

199 インドのバンガロー

イギリスの植民地住宅として発展した「バンガロー」の起源はインドに遡る。バンガローとはベンガル語で「ベンガル風の」という意味を持ち、インド特有の気候に対応するために、インドベンガル地方の農民住宅の特徴を取り入れたイギリス人住宅がはじまりとされている。住宅の四方をヴェランダに囲まれた平屋を基本形としており、インドでスタイルが確立された後、イギリスの週末住宅や郊外住宅として発展。オーストラリア「クイーンズランダー」やアメリカ西海岸「カリフォルニア・バンガロー」などに渡り、コロニアルスタイルのひとつとして多くのバリエーションが生まれ、世界各国に広まった。

インドにおけるバンガローの系譜は大きく2つある。1900年以降、イギリス軍のカントンメント(駐屯地)に建設されたバンガローと、1850年前後から開拓されたインドの紅茶農園に建設されたバンガローである。ここでは紅茶農園のバンガローを紹介したい。2014年8月にインド北部のダージリン、ドアーズ、アッサムを旅し、バンガローの実測調査を行なった。各エリアは地形や標高、気候、現地で入手可能な建材が異なり、それがバンガローの特徴に表れている。

かつて紅茶農園では茶畑と工場のほかに、ディレクターバンガロー、マネージャーバンガロー、スタッフバンガローと役職に応じた家具・家電付きのバンガローが供給されていた。なかでもディレクターバンガローはイギリス人駐在員が長期的に住むこと、イギリス本国からの来客も想定された住宅であり、贅沢なつくりになっている。未開拓な周辺環境とは切り離され、ヴェランダからは手入れされた芝生や緑を鑑賞することができ、一級品の家具がしつらえられるなど、イギリス本国の生活と比較しても遜色ない生活環境が用意されていた。当時のイギリス本国の住宅思考が読み取れるという点でも重要な資料といえよう。

現在ではティーツーリズムと結びつき、ヘリテッジホテルとして活用されているので宿泊も可能だ。周辺の村にも案内してもらえるので、是非訪れてみてほしい。



[撮影者:土岐文乃(東北大学助教)+宮原真美子(日本女子大学助教)]

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