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198 西河村の伝統的風景

198 西河村の伝統的風景

2016年10月初旬、突然プレゼンを中断され、満天の星を見た──。
河南省信陽市新県西河村は、観光客と25人の建築学生の使う電力に耐えきれず、村全体が停電してしまうほどの小さな村である。東北大学は毎年、修士課程の設計課題で海外の学生と合同ワークショップを行なう。今年は私たちのほかに中国から清華大学、浙江大学、台湾から中原大学が参加した。近年、都市と農村の経済・文化格差がなくなりつつある中国では、地域特性が消失しかねない現状だという。そこで私たちは伝統建築群が残りつつインフラなどの問題を抱える農村・西河村に10日間滞在し、復興を目的に現地調査およびグループごとの提案を行なった。
10月の頭は中国の観光シーズンで、山あいにある川沿いの道は、伝統建築と出店、観光客であふれかえっていた。道を外れ山のほうへ進むと、荒廃した畑もあれば、住民によって手を入れられている畑もある。私のチームは観光の道、畑、高台にある伝統住宅3軒までの斜面上に潜在する地域資源に着目し、調査を行なった。伝統住宅は四合院という、中庭の四方を切妻で囲むタイプで、組積造の閉鎖的なファサード、屋根部分は木組みの上に瓦を載せたものが大半である。その反面、住人はオープンマインドで、私たちを寝室まで構わず上げてくれた。
油茶と呼ばれる実、銀杏、栗など、地域特有の特産物があるのはこの地の誇る資源だが、ここでは水の使い分けも面白い。伝統住宅と畑の間に、古井とよばれる山の水をためておく石の壺が2つ並んでいた。片方は野菜を冷やしておくもので、もう一方では食器など少し汚れたものを洗う。それは住民たちの共用の洗い場であり、暗黙の了解で2つを使い分けている。また、人間が使った水を鶏が飲み、鶏が卵を産み、それを人間が食べるといった循環も成立している。しかし、トイレやお風呂といった水回りは整備されておらず、かつて山からの湧水を川へ運んだであろう堀も枯れていた。
清華大学がプロジェクトでコンバージョンした博物館、食堂、カフェなども含め、伝統的な建築や風景の数々を紹介する。



[撮影者:前田冴(東北大学大学院)]

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