PHOTO ARCHIVES

185 パリの都市空間と建築作品

185 パリの都市空間と建築作品

フランス・パリにおいて一括りに芸術とされるジャンルにはさまざまなものが混在している。
例えば美術館で飾られる有名な絵画や彫刻・現代アートだけでなく、路上では地面をキャンバスにライブ・ペイントが行なわれ、広場では自画像を展示しその画力をアピールしながら似顔絵を描く人たちが多く存在する。またメトロの中では当たり前のようにアコーディオンや鉄琴、マイクを持った人たちが周囲を巻き込みながら演奏を始める。建築においても歴史的建造物から現代建築までさまざまな年代が混在しており、なかでも驚くべきことは、市民の多くが建築にもとても関心があるということだ。シャイヨ宮で行なわれたヴィオレ・ル・デュク展は、若者からお年寄りまで多くの人で溢れていた。次々と現われる新しいものに目を向けるだけでなく自国の歴史や建築を学び取ろうという姿勢がそこにはあった。彼らはつねに自らの価値観を磨き、古いものと新しいものの両者を射程に入れながらあらゆるものの価値を再定義している。
現地では古い建築や絵画を丹念に修復する作業が日常的に行なわれているが、日本のように修復中を閉館とするのではない。例えばパンテオンでは現代アーティストが修復中の建築を使ってそれとコラージュするような展示を行なっていたり、美術館内でも絵画の修復風景をまるで作品のように透明な囲いを用いて来場者に積極的に見せたりしていた。これらの名画に直接筆を加え更新していく価値観と、そのプロセスの魅せ方は、どこか日本にはない文化のように感じられとても新鮮であった。
今回はパリを中心として10日間巡り、そのなかでリヨンやモン・サン=ミシェルなどにも足を運んだ。建築とその周辺環境、人びとの街や建築の使いこなし方、それを繋げるインフラに着目しながら写真を選定した。サクレ・クール寺院の高台から見る日の出や、日が暮れてくるとライティングの始まるルイ・ヴィトン・ミュージアム、そしてそのすぐ近くのパリの夜景が一望できる凱旋門。それら三つの建築はパリの街に対して視点場を持ちそれぞれ異なる街のパノラマを切り取ると同時に、連続的な風景として存在している。時間や季節、その時々の光によって刻一刻と街や空間、風景の見え方や空気感の変化しているパリにおいてその一端をご紹介できれば幸いである。なお次回は同じくパリのルイ・ヴィトン・ミュージアム等の展示空間を新旧交えて紹介したい。



[撮影者:竹村優里佳(立命大学大学院)]

→ 「公開の原則と著作権について」
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事:186 パリの展示空間とその周縁
次の記事:184 台湾(宜欄)
Photo Archives|五十嵐太郎

INFORMATIONRSS

「ガウディをはかる-GAUDI QUEST-」5日連続ギャラリートーク(品川区・3/27-3/31)

建築倉庫ミュージアムで開催中の「ガウディをはかる - GAUDI QUEST -」展にともない、実...

第24回 R&R 建築再生展2019 学生 建築ストック再生コンテスト(応募・〆4/25)

近年、日本では建築ストックの活用が叫ばれ、建築再生の時代へと移行しつつあります。学生の卒業設計でも...

建築学生ワークショップ出雲2019開催説明会、講演会(東京・5/9、京都・5/16)

2019年夏、古代より現代に受け継がれてきた、わが国を代表する神聖な場所、出雲大社周辺区域にて、小...

杉戸洋「cut and restrain」(港区・3/16-4/13)

杉戸洋による展覧会が「cut and restrain」4月16日まで小山登美夫ギャラリーで開催し...

建築レクチュアシリーズ217 平田晃久(大阪・4/5)

大阪を拠点に活動を行う2人の建築家、芦澤竜一氏と平沼孝啓氏が1組のゲスト建築家をお呼びして、年に7...

山岸剛×光嶋裕介「なぜ山岸は光嶋に対話を頼むのか? なぜ光嶋は山岸に撮影を頼むのか? 建築をめぐる写真とことば」『Tohoku Lost, Left, Found 山岸剛写真集』刊行記念(世田谷区・3/29)

東日本大震災から8年。3.11をきっかけに東北の大地を8年にわたり撮り続けた『Tohoku Los...

シンポジウム「建築の公共性──誰のためにつくるのか」(港区・3/28)

その建築をだれのためにつくるのか。 発注者のためです。そして同時にそれを使う人のためです。発注者が...

建築写真家・山岸剛作品展示「Tohoku Lost, Left, Found」(中央区・2/26-3/31)

写真家・山岸剛氏による『Tohoku Lost, Left, Found 山岸剛写真集』(LIXI...

鏡と天秤─ミクスト・マテリアル・インスタレーション─(中央区・3/12-5/11)

私たちは非日常(ハレ)と日常(ケ)の境界が曖昧な社会におり、個々が非日常(ハレ)と日常(ケ)のバラ...

- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展(品川区・2/6-5/6)

建築倉庫ミュージアムでは、2月6日より「- Green, Green and Tropical -...

AA visiting school workshop at 竹中大工道具館(兵庫県ほか・3/13-24)

イギリスの建築の名門AAスクールが世界中の大学や企業と共に世界各地で行うワークショップ「A...
建築インフォメーション
Twitter Feed
ページTOPヘ戻る