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184 台湾(宜欄)

184 台湾(宜欄)

2015年5月上旬、大学の設計課題の一環で台湾の宜欄県を訪れた。宜欄は台湾の北東に位置し、三方を山に囲まれた扇状の平野が広がる。そのほぼ中央を流れる欄陽渓によって形成された肥沃な土壌では、稲作をはじめ農業が盛んに行なわれている。また、宜欄は地熱利用の可能性が検討されており、今回の課題はその地熱を利用しながら持続可能な農村集落のあり方を考えるというものであった。敷地調査では三星地方の農村を訪れたが、灌漑のための水路の様子や利用方法、所有者によって栽培する作物が異なっていること、風を防ぐ木が植えられていること、農民が手放してしまった土地に田園の風景にはそぐわない別荘と呼ばれる建物が建っていること等々、刺激的な発見が数多くあった。
今回はそんな宜欄県において、黃聲遠氏を中心に活動している設計集団フィールドオフィス・アーキテクツ(田中央聯合建築師事務所)を中心にご紹介したい。彼らの活動はいわゆる敷地の内側に建つ建築に留まらず、道や公園、橋などにも展開され、その土地に根ざした風景をつくり出しているようだった。そこには日本の場合、はっきり分かれている土木や建築などの「分野」という概念は存在せず、より良い地域の環境をつくるための手段が自然に選択された結果だけがあるように思えた。まだ発展途上と思われている台湾宜欄だが、そのゆったりした姿勢には私たちが学ぶことも多いのではないかと感じた。



[撮影者:菊池聡太朗(東北大学大学院工学研究科)]

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