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183 スペイン(マドリード+バルセロナ+ビルバオ+トレド)

183 スペイン(マドリード+バルセロナ+ビルバオ+トレド)

今春、友人が留学していることもあり、スペインを旅行する機会を得た。8日間という短い日程のなか、マドリード、バルセロナ、ビルバオ、トレドの4都市を見て周った。今回は、これら4都市について紹介したい。
まずは、マドリードについて紹介したい。石畳の一つひとつから歴史を感じる旧市街地から、現代建築が建ち並ぶ新市街地まで存在し、新旧のコントラストが感じられた。
続いてバルセロナ。バルセロナでは、ガウディの建築群からミースの《バルセロナ・パヴィリオン》、ヘルツォーク&ド・ムーロンの《フォーラム・ビルディング》など幅広い年代の建築を体験できた。街にはファサード建築が多く建ち並ぶ印象。ガウディの建築はドアノブやタイルひとつからもガウディの息遣いが感じられる作品となっている。モダニズムの礎とも言うべき《バルセロナ・パヴィリオン》は、どこか引き込まれるような感覚を覚える建築だった。《フォーラム・ビルディング》などの現代建築は、街並からかけ離れたスケールのものが目立ち、存在感を放っていた。
続いてビルバオ。重工業都市として知られているビルバオにおいて、荒廃するウォーターフロントの再生とグッゲンハイム美術館のヨーロッパにおける分館の設立の意向が相まって実現したのが、《ビルバオ・グッゲンハイム美術館》である。一見暴力的にも感じられるが、建築自体が街に対して強く影響を与えるような力強さを秘めているように感じた。空港から街へ向かうバスのなかから突如現われたその姿を見たときの高揚は忘れられない。
最後にトレドについて紹介したい。世界遺産指定都市としても有名なトレド。組石造からなる歴史地区は、強い土着性を感じる。長くイスラム教とキリスト教が共存していた都市としても知られている。そのため二つの文化の建築様式が入り乱れており、特異な雰囲気を醸し出していた。また街路も複雑に構成されていて、どこかイスラームの雰囲気があり、ほかのスペインの都市とは異なる都市構成であった。
それぞれに特徴があったが、どの都市にも歴史に彩られたモニュメントや中世の面影を感じる広場が数多く存在した。それらを起点に街路が形成されている印象をうける。
今回は、数多く見たスペイン建築のなかから抜粋して紹介した。スペイン建築の片鱗を少しでも感じていただければ幸いである。



[撮影者:河鰭公晃(東京理科大学理工学部建築学科)]

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