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176 渡辺誠

176 渡辺誠

渡辺誠はアルゴリズムによって形態を発生させる設計手法「アルゴリズミック・デザイン」で知られる。
1988年の国際コンペで選ばれた《青山製図専門学校1号館》から、多様性から生まれる建築・都市が彼のテーマであり続けた。アルゴリズミック・デザインは無数に出現する「多要素を解決する形」をシミュレートするためのツールである。ひとつの文化と統一されたルールからつくられる都市とは異なる、多様化した文化・システムを受容する都市のつくり方は、一見無秩序に見える現代日本の都市景観を肯定する。
「時間」も多様性とともに彼の建築のなかで重要なキーワードとなっている。それぞれの要素は時間とともに変化する。要素を繋ぐ関係も時間とともに変化する。無数の解がはじき出されるアルゴリズミック・デザインにおいて、実際につくられた建築の形態は、途切れることなく続く時間のなかから選び出した、無限の可能性のうちのひとつの形にすぎない。金属パネルやロボットの部品のようなパーツを用いた彼のデザインは、自然を排除しているのではなく、さまざまな樹木や生物がそれぞれのルールに従って生きる「生態系」からある一瞬を選び建築化したものなのだ。
このような無数の解のなかから選出されるひとつの形の基準は「美しさ」である。アルゴリズミック・デザインで必ず解決すべき問題をクリアしているからこそ、複数解のなかからの選択は純粋に美か否かのみによって行なうことができる。渡辺誠の建築は、けっしてアルゴリズムのための設計ではなく、美を追求するためのツールとしてアルゴリズムを用いているのである。



[撮影者:杉浦舞(名古屋大学大学院)]

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