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172 ブリュッセルのアール・ヌーヴォーとオルタ建築

172 ブリュッセルのアール・ヌーヴォーとオルタ建築

アール・ヌーヴォーの建築家として知られるヴィクトール・オルタは、19世紀末から20世紀にかけてブリュッセルにて多くの建築を生み、2000年にはその邸宅群が世界遺産にも登録された。
加工しやすい鉄の登場が可能とした、植物をモチーフとした有機的でなめらかな曲線による新たな芸術様式、アール・ヌーヴォー。ここで注目したいのが、オルタの建築はアール・ヌーヴォーだけが特徴ではないということ。ブリュッセルの住宅は通常、敷地が細長く、隣の家と密着している。そのため中心部分に光が入りにくい。そこでオルタは階段室などの吹き抜け空間を設け、そこに天井窓などの開口で自然光を取り入れる新たな方法を生み出した。光の当たらない場所に階段を置くのではなく、明るい階段を通して各部屋にも光を取り入れたのだ。光溢れるいきいきとしたその空間は、アール・ヌーヴォーの美しいステンドグラスや手すり、床の模様などの装飾をさらに際立たせる役割も担う。アール・ヌーヴォーがただ装飾という枠にとどまらずこれだけ多くの人に愛されたのは、それを際立たせるような空間、生活をより美しくいきいきとさせる空間設計があったからこそではないか。
ブリュッセルではオルタ以外にも、ポール・アンカール、アンリ・ジェイコブスなどがアール・ヌーヴォー建築家として活躍した。今回はブリュッセルにおける彼らのアール・ヌーヴォー建築をできるだけ細部にわたって紹介できたらと思う。一つひとつに込められた建築家たちの空間づくりに対する思いが感じられるだろう。



[撮影者:三浦麻衣(東北大学)]

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