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168 上海・寧波・杭州・蘇州

168 上海・寧波・杭州・蘇州

これは2014年の春にゼミ旅行で上海、寧波、杭州、蘇州を訪れたときの写真である。
初めて中国を訪れたが、建物と都市のスケールの大きさにまず圧倒された。夜になるといたるところでビルのファサードがイルミネーションで光り輝く様子も、やはり日本にはない風景である。
今回の訪問では外国人建築家の作品を数多く目にすることとなったが、それはOMAの《CCTV本社ビル》をはじめ、世界中の建築家が中国に進出してきていることの現われだろう。今回見たなかでは、磯崎新の《上海証大ヒマラヤ芸術センター》や青木淳の《尚嘉中心》など、日本の建築家が設計した建築も中国の広大な土地に現代の技術力と未来の可能性を試すかのように力強く建っている印象を受けた。曲面を用いている点では共通するが、両者の形態はやや対照的である。《上海証大ヒマラヤ芸術センター》は、オフィスとホテルがそれぞれ両端に配置されそれをつなぐように、コンクリートの有機的な構造体が奇抜な外観を作っている一方で、《尚嘉中心》は、店舗部分のマッシヴなヴォリュームからオフィスビル部に向かって、壁から屋根へ、屋根から壁へと曲面で滑らかに形作られており、ファサードのデザインもそれを強調している。
外国人建築家による巨大でインパクトのある建築が建ち並ぶ景色を目の当たりにした一方で、中国国内の建築家はむしろ、中国の歴史をくみとり、いまの中国にふさわしい建築を考えている。2012年にプリツカー賞を受賞した王澍は、伝統的な職人の技術と方法で現代の中国にふさわしいものを考え、杭州や寧波に数々の建築群を残している。また、上海と東京を拠点に活動しているKUUは、佐伯聡子とKok-Meng Tanによる日本人とシンガポール人のユニットだが、彼らも現代の中国で評価されがちな迫力のあるパースよりも空間やコンテクストに対するアプローチやその表現の仕方を重視しており、小・中規模のものの作品が多い。
外国人建築家の中国への進出はもちろんだが、王澍やKUU、ほかにもneri & huや大舍建築など中国国内の建築の動きにも今後注目していきたい。



[撮影者:齋藤遼介(東北大学工学部建築・社会環境工学科)]

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