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159 大谷石

159 大谷石

宇都宮市大谷町で産出される大谷石は古くから建材、石塀などに用いられこの都市の景観をつくる一助となってきた。現在も宇都宮市周辺には大谷石を用いた建築作品が数多く存在している。掲載する写真は2013年の春から夏にかけて撮影したものである。

大谷石とは軽石質の凝灰角礫岩を主体とする火山砕屑岩の総称で、耐火、耐震、耐久性に優れ、質量が軽く、軟らかく加工が容易である。現在も採石は続けられており年間約2.5万トンのペースで産出されている。
古くは縄文時代の竪穴式住居の炉石として使われたと言われており、本格的に利用されるようになったのは江戸時代からである。石垣、墓石、石塔などに用いられた。明治以降、石を用いて蔵や住宅が建てられるようになり、大谷石は大谷町から同心円状に広まっていった。大正期にはフランク・ロイド・ライトの《帝国ホテル》に使用され、全国的な知名度を獲得した。
建材としては石瓦として利用され始め、外壁に板状の石を貼るようになり、大きなブロックが輸送可能となると組積造の蔵が建てられるようになった。

大谷町は市街地から北西に約7キロに位置しており、景観公園として整備され、地下採石場跡を利用した《大谷資料館》もあり、市では重要な観光地域と位置づけている。
大谷石建造物が数多く見られるのはこの大谷町周辺のほか、西根地区、宇都宮駅周辺の中心市街地である。市街地は太平洋戦争で焼け野原となったが、耐火性のある大谷石蔵のみが空襲に耐えて残った。つまり宇都宮において石蔵は、戦前の風景を伝えるこの地域の数少ない要素であるのだ。
またここでは一括りに大谷石としているが、産出する場所によって名称や成分がそれぞれ異なる。西根地区で用いられている石は徳次郎石と呼ばれ、《文化活動交流館》には深岩石が使われている。それらの表情の違いをぜひ見比べていただきたい。

近年、不要となった石蔵は取り壊されてしまうことも多い。しかし、既存の蔵をレストランなどに用途転用し再生する事例や、新築の物件に大谷石が用いられるなどの新たな動きも見られる。こうした風潮が活性化し、地域独自の景観をつくっていくことを願うばかりだ。



[撮影者:関谷拓巳(東北大学大学院)]

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