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154 図書館[4]

154 図書館[4]

アメリカの図書館サービスや活動実績は世界のトップクラスであろう。国別では北欧の躍進は目覚しいが、規模や数では劣る。アメリカは、公共財に依存せずに私財でつくられた歴史的背景をもつ図書館が多数あり、それらが現在では公共サービスを展開しているからだ。会員制の私立図書館が19世紀の活動を牽引し、公共図書館を普及させたのが、カーネギー図書館である。
今回は私立機関として活動を開始し、現在でも私立を維持している図書館を中心にご紹介する。

はじめにご紹介するのは、全米で最初の研究大学ジョンズ・ホプキンス大学の附属機関ピーボディ研究所(19世紀は独立した私立機関)とその図書館、イノック・プラット公共図書館(メリーランド州の州立図書館をも兼ね、19世紀にはホプキンスの提携図書館であった)。そしてそのホプキンスが2012年に開館させたラーニング・コモンズ。
ボストン・ブラーミンがつくったボストン・アシニアムは、すでに200年の歴史を持つ知の殿堂で、ここから派生したのが、ボストン美術館とボストン公共図書館である。これらの知を保存する専門家たちを育てたのは地元ハーヴァードの卒業生が多数関ってきた。その拠点としてのワイドナー図書館(これは20世紀)。
自動車の街デトロイト、公共図書館では全米屈指の存在があり、州立大学、美術館、科学館に隣接した好立地に佇む。
西海岸で富裕層がもっとも多いロサンゼルス近郊にあるハンティントン図書館。博物館、美術館と庭園や植物園を持つ広大な敷地に建ち、観光名所でもある。
最後は図書館ではないが知の起源を同様に保存する博物館を紹介する。ワシントンDCに1997年に開館したニュージアム、東日本大震災の手書き号外を出した『石巻日日新聞』を誇らしく保存・公開しているジャーナリズム博物館は、東に佇む議会議事堂に対峙している。

アメリカの著名大学は圧倒的に私立であるように、図書館や博物館など社会教育機関も文化活動の基幹を担う運動のメッカとして私立機関がその中心的役割を担う。



[撮影者:松林正己(中部大学総合学術研究院出版室)]

→ 「公開の原則と著作権について」

pic  クライド・ネルソン・フリッツ+ネルソン・フリッツ+エドワード・リッピンコット・ティルトン+アルフレッド・モートン・ギゼンズ《イノック・プラット無料図書館本館》

pic  エドマンド・ジョージ・リンド《ジョンズ・ホプキンス大学 ジョージ・ピーボディ研究所図書館》

pic  シェプリー・ブルフィンチ・リチャードソン&アボット《ジョンズ・ホプキンス大学 ブロディ・ラーニング・コモンズ》 [1]

pic  シェプリー・ブルフィンチ・リチャードソン&アボット《ジョンズ・ホプキンス大学 ブロディ・ラーニング・コモンズ》 [2]

pic  エドワード・クラーク・キャボット《ボストン・アシニアム》

pic  チャールズ・フォレン・マッキム&フィリップ・ジョンソン《ボストン公共図書館 本館》

pic  フィリップ・ジョンソン《ボストン公共図書館 ジョンソン図書館》

pic  ホレス・トランバウアー&ジュリアン・F・アベレ《ハーヴァード大学 ワイドナー図書館》

pic  キャス・ギルバート《デトロイト公共図書館 本館》 [1]

pic  キャス・ギルバート《デトロイト公共図書館 本館》 [2]

pic  ジョン・ラッセル・ポープ《ハンティントン図書館》

pic  ポルシェック・アンド・パートナーズ《ニュージアム》 [1]

pic  ポルシェック・アンド・パートナーズ《ニュージアム》 [2]

 


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