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145 ベトナム北部

145 ベトナム北部

ベトナムを訪れれば、街中にあふれたバイクや、活き活きとした人々の往来からベトナム人のたくましさと陽気さを感じることができるだろう。そんなベトナムの歴史は、戦争の歴史といっても過言ではないくらい侵略と征服に耐えてきた国である。特に中国、タイ(シャム)、フランスの文化の影響が大きく、多くの史跡が国内に残る。
僕の住む首都ハノイはベトナム北部に位置する。四季があり、ときに日本に近しい風情を感じさせてくれる街だ。漢字で「河内」と表記するように紅(ホン)河の流域につくられていて、街中にふんだんにある湖は市民たちの貴重な憩いの場となっている。
かつての王リー・タイ・トーがハノイに都を移して1000年あまり、ベトナム戦争時代に激しい空爆を経た現在でも市内には多くの歴史遺産が残っている。中華文化圏の影響を受けた寺院、フランス統治時代のコロニアル様式の建築、そして南北統合後の近代建築などである。プチパリの別名も持つ中心部では、新しい建物にもコロニアル様式を意識したものが良く見られる。
都市化と高密度化の続くハノイ市内に対して、郊外には自然が多く残り、環境と共存することを意図した建築が見られる。元来、緑と密接に生活してきたベトナム人にとって、都会の喧騒から逃れ、自然のなかで週末を過ごすことへの憧憬は強い。
建物の建設にあたっては風水の視点が強く求められ、たくさんのルールが存在する。建築家より風水師の立場が強いが、そのようななかでも若い建築家はベトナム発の文化を創造するために竹や木、石やレンガといったローカル素材に着目した建築を作り出している。自然と豊かにつながり、人々の心を潤す心地よい空間が多くつくられることを期待している。



[撮影者:丹羽隆志(建築家)]

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