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135 オランダ[3]

135 オランダ[3]

2011年1月から2月にかけて訪れたオランダの現代建築を中心に紹介する。

湿地帯オランダのこの時期の天気は、つねに曇りで時折つめたい霧が吹いた。
留学先の設計スタジオ主催のツアーで訪れた首都アムステルダムでは市内の見学に加え、アムステルダム都市計画関係者による講演と、郊外の干拓地に位置する新興都市アルメレや、市内南部に位置するビジネス街であるザイダス地区の見学をする機会を得た。
国土の狭いオランダでは古くから限られた土地をいかに合理的でサステイナブルに使用していくかという課題をつねに抱え、議論を重ねる伝統が根付いていった。現在の都市計画においても自治体、企業など多様な分野の参加者による連携で合理的な最善策が吟味されている。一方、各自治体(特に郊外)では多くの土地を所有しているため、こうした都市計画を容易にしている面もあるとのことだった。
アムステルダムではボートによる建築ツアーでKNSM島やボルネオ地区、MVRDVによるSilodamを海側から見学することができた。これらのプロジェクトが完成して10年から20年ほどになるが、アムステルダムの港沿岸部ではまだまだ建設中の建物が多く見られた。
OMAによるマスタープランが敷かれたアルメレでは住居・商業・文化施設が混在する用途混合のゾーニングが行なわれ、駅から続く昔からの商店街とクリスチャン・ド・ポルザンパルクらによる商業施設の軸のズレが街の活気をうながしているようだった。屋上緑化された商業施設の上に塔のように建つ集合住宅も印象的な風景をつくっていた。
"南の軸"を意味するザイダス地区は世界貿易センターやING銀行本社などアムステルダム最大の経済の拠点であり、鉄道によりスキポール空港とアムステルダム中央駅のアクセスへの利便性が図られている。またリーマン・ショック以後、新規建設の勢いは緩やかになるものの、地区中央を通る高速道路の上に人工地盤をつくり、その上にビル建設をすすめる"ドックランド計画"が進む。この一帯では近年流行のオフィスビルの形態を一度に見ることができるのも楽しい。

同じオランダでも、第二次大戦で空襲を受けたロッテルダムの街並みは近代的なビルや広い道が中心だ。デン・ハーグやユトレヒトなどの規模小・中規模の街ではオランダ伝統の町並みに溶け込んだ近・現代の建築の姿をみることができる。どの土地にあっても建物が建設される加減と質がきちんとコントロールされている印象をうける。よりサステイナブルで後世に残るものをつくっていこうとするオランダの都市・建築に対する姿勢に感心した。



[撮影者:曽良あかり(東北大学工学部建築・社会環境工学科)]

→ 「公開の原則と著作権について」

pic  駅付近の港から

pic  アムステルダム中央駅

pic  VMXアーキテクツ《Bicycle Flat》

pic  レネ・ファン・ツーク《Arcam》

pic  ベネット・アソシエイツ《ミントホテル》

pic  3XN《Music building on the IJ》

pic  ヘルムス・オバタ+カッサバウム建築事務所《アムステルダム旅客ターミナル》

pic  レンゾ・ピアノ《Nemo》

pic  ヨー・クーネン《アムステルダム公共図書館》

pic  KNSM島付近

pic  ボルネオ地区

pic  アーヒテクテン・シー《The Whale》

pic  ヌーテリンフス・リーデイク《IJ tower》

pic  DKVアーキテクテン《Australie - Boston》

pic  MVRDV《Silodam》

pic  ジェイコブ・クリンクハマー《Brown Stone Silodam》

pic  MVRDV+ヨープ・ファンリースハウト+リチャードハッテンロイド 《ホテル & カルチュラル エンバシー》

pic  GROUP A《Booster Station South》

pic  ウィルキンソン・エア・アーキテクツ《Nescio Bridge,》

pic  ベルマミーア団地再開発

pic  クリスチャン・ド・ポルザンパルク《De Citadel》

pic  ギゴン&ゴヤー《集合住宅》

pic  UNスタジオ《La Defense》

pic  Dam & Partners Architecten《Carlton Office Tower》

pic  ZZDPアーキテクテン《WTC Martinez - Almere》

pic  メイヤー・エン・ファン・スフォーテン・アーキテクテン《アルメア公立図書館》

pic  クラウス・エン・カーン・アーキテクテン《Silverline》

pic  レネ・ファン・ズーク《ブロック16》

pic  SMCアルソップ《アポロ ホテル アルメール》

pic  SANAA《アルメレ芸術シアター》

pic  Zuidas Amsterdam内、Zuidas地区の模型

pic  アムステルダム南駅

pic  ワールド・トレード・センター・アムステルダム

pic  伊東豊雄《OTH(伊東棟)》

pic  Rafael Vinoly Architects, van den Oever, Zaaijer & Partners architecten《Vinoly tower》

pic  エリック・ファン・エゲラート《The Rock》

pic  UNスタジオ《UNスタジオ・タワー》

pic  デ・アーキテクトン・シー+AWGアーキテクテン《Amsterdam Symphony》

pic  メイヤー・エン・ファン・スフォーテン・アーキテクテン、OTH《INGハウス》

pic  ボネマ・アーキテクテン《Delftse Poort Offices》

pic  H・A・マースカント+W・ファン・テイエン《グルートヘンデルスヘボウ》

pic  ハリー・C・H・レインダース《ブラーク地下鉄駅》

pic  ロッテルダム中央駅

pic  ピエト・ブロム《ツリー・ハウス》

pic  H・A・マースカント《ユーロマスト》

pic  UNスタジオ《エラスムス橋》

pic  レンゾ・ピアノ《KPNオフィス》

pic  ツヴァルツ&ヤンスマアーキテクツ《ヴェルヘルミナプレイン地下鉄駅》

pic  J・J・P・アウト,《カフェ・デ・ユニ》

pic  ヨー・クーネン《オランダ建築協会》

pic  ヌーテリンフス・リーデイク《Scheepvaart en Transport College》

pic  OMA/レム・コールハース《クンストハル》

pic  ウエスト8《シティ・シアター・プラザ》

pic  ベンテム・クラウェル・アーキテクン《ラス・パルマス》 [1]

pic  ベンテム・クラウェル・アーキテクン《ラス・パルマス》 [2]

pic  OMA/レム・コールハース《オランダ国立ダンス・シアター》

pic  OMA/レム・コールハース《地下トラムトンネル》

pic  リチャード・マイヤー《ハーグ市庁舎&市立図書館》

pic  H・P・ベルラーヘ《ハーグ市立美術館》

pic  ピエト・L・クラメル《ハーグの百貨店》

pic  J・クラウェル《中央郵便局》

pic  OMA/レム・コールハース《ユトレヒト大学関係施設エデュカトリウム》

pic  ヌーテリンフス・リーデイク《ミンナルト》

pic  マールリース・ルゥメル《Smarties》

pic  マート・ディ・ヨング《スペースボックス》

pic  UNスタジオ《NMR施設》

pic  ユトレヒトの風景

pic  運河

pic  ヘーリット・リートフェルト《シュレーダー邸》

pic  教会建築

 


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