PHOTO ARCHIVES

124 アンマン+スレイマニヤ 

アンマン
ヨルダンの首都アンマンは、人口およそ120万人の都市である。ヨルダンの全人口の4分の1ほどが生活し、陸路でイスラエルに入ることができる唯一の国である。そのため、国連やNGOの団体の事務所が数多く存在する。
19の丘を有する起伏に富んだ地形のため、都市全域は小さなヴォリュームの建物で構成され、丘のうえからの景色は安藤忠雄の《六甲の集合住宅》を思わせる。丘の低い部分の平坦な土地には旧市街地がひろがり、街路は直線道路がなく迷路のように入り組んでいるのが特徴的である。旧市街地には、ローマ時代の劇場などの遺跡も混在し、街路に沿って店が所狭しと並んでいる。また、ライムストーンの産地で、安価な材料として建物のファサードによく使われている。そのため町全体がライムストーンで統一された美しい町並みになっている。市街地を抜けるとほとんどの建物が建設途中であることに気がつく。建設途中の建物は固定資産税を免除されるためで、柱を延ばしておいて建設中とみなし、その状態で建物を使っているのである。
ヨルダンは他の中東地域のように鉱物資源が豊富ではないため、観光産業に力が注がれている。交通インフラは開発目覚しく、主要な幹線道路はここ数年でかなり整備された。空港も新しく建設中でドバイのようなハブ空港を目指している。また、死海やペトラ遺跡といった有名な観光地周辺は、ホテルの建設ラッシュである。

スレイマニヤ
後半で紹介するのは、イラク北東部のクルディスタン地域にあり、スライマーニーヤ県の県都・スレイマニヤである。地元の建築技術はかなり低く、精度の良い建物は隣国のイランやトルコから技術者によってつくられている。しかし、技術力があるぶん建築コストも高く、地元の建築業者と約3倍の賃金格差がある。また、現在外資による建設ラッシュで日本のポストモダンを思い出させる建築が数多くつくられているが、この地域は砂塵が常に舞っているのでカーテンウォールを採用している建物はかなり汚い印象を受けた。



[撮影者:長澤浩二(建築家)]

→ 「公開の原則と著作権について」
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事:125 アメリカ中部
次の記事:123 瀬戸内国際芸術祭2010
Photo Archives|五十嵐太郎

INFORMATIONRSS

ディスカッション「記憶・記録を紡ぐことから、いまはどう映る?」(千代田区・2/19)

社会状況や人の営み、時には自然災害によって移ろいゆく土地の風景。いま、私たちが目にする風景は、どの...

 ディスカッション「どこまでが『公』? どこまでが『私』?」(千代田区・1/29)

日常生活のなかで、「公」的な場所と「私」的な場所は、対比関係にあるものとしてとらえがちです。しか...

対談「磯崎新×浅田彰」「インポッシブル・アーキテクチャー」展(大阪府・2/15)

国立国際美術館で開催中の展覧会「インポッシブル・アーキテクチャー──建築家たちの夢」の関連企画とし...

座談会「彫刻という幸いについて」(府中市・2/23)

府中市美術館で開催中の展覧会「青木野枝 霧と鉄と山と」(3月1日まで)の関連企画として、座談会「彫...

展覧会「超看板 SIGNS & BEYOND Vol.2」(渋谷区・1/10-19)

「超看板」は、建築家、デザイナー、アーティストなど、異なる分野で活動するコラボレーターと協働し、既...

展覧会「アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命」(江東区・12/20-2/27)

世界的建築家のアルヴァ・アアルトとその妻、アイノ・アアルトが1920年から1930年にかけて追及し...

「いま」を考えるトークシリーズVol.9「観光と都市のモビリティそしてアート」(京都・1/11)

多様な角度から同時代の社会を知り、捉え直すためのトピックを挙げ、それにまつわるゲストを招く連続トー...

安藤忠雄早稲田大学特別講演会「夢かけて走る」(新宿区・1/21)

2020年1月21日に早稲田大学西早稲田キャンパスにて、 安藤忠雄氏の早稲田大学特別講演会「夢かけ...

展覧会 「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」(港区・1/11-3/22)

1928年、初の国立デザイン指導機関として仙台に商工省工芸指導所が設立され、1933年には来日中の...

対談 「岡﨑乾二郎──視覚のカイソウ」展 斎藤環+岡﨑乾二郎(愛知県・1/13)

豊田市美術館で開催中の展覧会「岡﨑乾二郎──視覚のカイソウ」の関連企画として、本展出品作家の岡﨑乾...

「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」(千代田区・-2/2)

わたしたちのくらしにとって窓はほんとうに身近なもの。それは光や風を室内に取り入れながら、寒さや暑さ...

「磯崎新─水戸芸術館縁起─」(茨城・11/16-1/26)

建築家・磯崎新による美術館設計を振り返るシリーズの一環として、当館では水戸芸術館の設計コンセプトや...
建築インフォメーション
Twitter Feed
ページTOPヘ戻る