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116 クロアチア

アドリア海の真珠と呼ばれ、一大観光地として欧州各地から多くの人々が訪れるクロアチア最南端の街、ドブロブニク。実はこの街は、ル・コルビュジエらが参加していたCIAM(近代建築国際会議)崩壊のきっかけとなった、1956年の第10回会議が行なわれた場所である。かつて、近代建築運動の転機の舞台となった街は、今日では中世の面影をよく残す街として人気を集めている。
クロアチアは1991年にユーゴスラビアから独立し、その後さまざまな変革と痛みをともない、現在では観光立国として復興を遂げている。旧ユーゴ諸国につきまとう、内戦の暗いイメージは、どこまでも続く紺碧のアドリア海と鮮やかなオレンジ色の屋根瓦を見れば、一瞬にして吹き飛んでしまうだろう。ここが十数年前まで内戦が起きていた国だとは信じ難い。

2009年の9月末にアドリア海沿岸の街、ドブロブニク、スプリット、トロギールを訪れた。いずれの街も、城壁に囲まれた地区は歩行者と自転車のみが通行可能で、旧市街全体が世界遺産に登録されている。人々が抱く中世ヨーロッパの姿がいまもなお色濃く残っている。
クロアチア第二の都市スプリットは、ローマ時代の宮殿がそのまま旧市街になった非常に珍しい都市であり、ここもまた多くの観光客が訪れる。宮殿内の歴史的建造物が保存される一方で、海岸沿いの近代的なプロムナードはとても美しく、アドリア海の青さを引きたてる。
古い街並が多く残るクロアチアであるが、2009年の『a+u』で「クロアチアとスロヴェニアの建築」特集が組まれたように、最近では現代建築シーンにおいても注目を集めている。2007年、2008年にはクロアチア建築の国際展が相次いで開催された。特に、今回訪れることができなかった首都ザグレブでは、建設ラッシュが起き街並みは大きく変貌している。自国の文化を守り続けてきたクロアチア建築が、今後どのように発展し、世界に影響を与えるのかが注目されている。



[撮影者:三塚悠(東北大学大学院修士2年)]

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