PHOTO ARCHIVES

108 エチオピア

エチオピアはアフリカ最古の独立国であり、アフリカで唯一ヨーロッパからの植民地化を免れた国である。人口の半数以上はエチオピア正教と呼ばれるキリスト教を信仰している。
まず、首都のアジスアベバは、約100年前に首都になった比較的新しい街である。高度2,400mに位置する高山地帯であり、気候は一年を通して暖かく、乾いた空気が爽やかだ。ほぼ赤道下にいるとは思えない気持ちの良い環境である。そこでは、100年前からほとんど変わることのない、市民ののびのびとした都市生活が繰り広げられている。牛や羊や鶏を自宅で飼い、炭を使って調理をする。近代建築と呼べるものはまず存在しない。教会も新しく、歴史は浅い。
一方、12世紀後半、17世紀にそれぞれエチオピアの首都であったラリベラとゴンダールには世界遺産に指定された建物が存在する。特にラリベラの岩窟教会群は必見である。一枚の岩を堀り、くり抜くことで内部をつくる。気が遠くなるような作業である。これらを発案から設計まで、当時の王であるラリベラ王が行なったそうだ。王として、そして建築家として、彼に敬意を覚えずにはいられない。それほど岩窟教会の中は感動的なのだ。靴を脱ぎ、ひんやり湿った教会の中に入ると、最初は真っ暗で何も見えない。やがて目が慣れてくると一人の司祭がひっそりと座っているのが見えてくる。深く彫り込まれた窓からは一筋の光。エチオピア正教の信者は、ラリベラに巡礼し、岩窟教会で祈りを捧げるのが夢だそうだ。無宗教の私がここまで感動するのだから、信者の感動は想像を絶するものに違いない。
ゴンダールは、1936年〜1941年にイタリアに占領された際、近代的な都市計画によって拡大した。慶應大学の三宅理一さんが手がけた「ミレニアムパビリオン」の完成も見ることができ、今後は日本とエチオピアの交流も期待できる。
これらの写真は2009年春に約1カ月間エチオピアに滞在した際に撮影した写真である。



[撮影者:鈴木茜(東北大学大学院修士2年)]

→ 「公開の原則と著作権について」
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事:109 北欧[1]──デンマーク+スウェーデン
次の記事:107 フランクフルト
Photo Archives|五十嵐太郎

INFORMATIONRSS

刊行記念イベント「建築のそれからにまつわるArchitects」乾久美子×中山英之(渋谷区・6/3)

乾久美子さん、中山英之さんの建築作品集が、それぞれLIXIL出版とTOTO出版から刊行されます。同じ...

「新しい時代のはじまり」展(神奈川県・4/20-5/6)

「旧神奈川県立近代美術館 鎌倉」が「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」として生まれ変わります。 鶴岡八...

「ある編集者のユートピア──小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校」(世田谷区・4/27-6/23)

編集者にしてウィリアム・モリス研究家の小野二郎(1929-1982)が生涯を通して追い求めたテーマ...

連続講義「建築とアーカイブズを巡る論点」(武蔵野市・5/11-)

近年、開催される大規模な建築展も多く、建築や建築に関する資料への関心が高まっているように感じられま...

シンポジウム「日本の近代建築を支えた構造家たち」(新宿区・5/18)

我が国の近現代建築の発展を技術的側面から支えた構造設計手法や施工法などに関する構造資料は、これまで...

「ル・コルビュジエ 絵と家具と」(渋谷区・3/29-5/18)

20世紀に最も影響を与えた建築家、ル・コルビュジエ。建築と都市計画においてのパイオニアであり紛れな...

「わたしはどこにいる? 道標(サイン)をめぐるアートとデザイン」(富山県・3/9-5/19)

「サイン」とは、人を目的地に導く目印のこと。普段意識することは少なくても、駅や空港、商業施設、美術...

「宮本隆司 いまだ見えざるところ」(目黒区・5/14-7/15)

東京都写真美術館では、現在も国内外の美術展などで発表を続ける宮本隆司の個展を開催します。宮本隆司は...

豊田市美術館リニューアル記念イベント「谷口吉生──美術館を語る」(6/15・愛知県)

豊田市美術館のリニューアルを記念して、同美術館を設計した谷口吉生のトークイベントが開催されます。 ...

日本橋高島屋と村野藤吾(中央区・3/5-5/26)

高島屋史料館TOKYOは、1970年に創設した高島屋史料館(大阪)の分館として、重要文化財である日...

NPO建築とアートの道場 2019春レクチャーシリーズ「これからの建築を考える──表現者と建築家による対話実験」(文京区・4/27-)

これからの建築を考えてみたいと思います 確固たるビジョンがあるわけではありません ただ葛藤や矛盾は...

シンポジウム「感性×知性=建築の新たなる可能性を求めて」 (港区・5/7)

21世紀も2020年代が近づき、AI、生命科学、宇宙といった新たなイノベーションが進行し人類のサス...

建築学生ワークショップ出雲2019開催説明会、講演会(東京・5/9、京都・5/16)

2019年夏、古代より現代に受け継がれてきた、わが国を代表する神聖な場所、出雲大社周辺区域にて、小...

杉戸洋「cut and restrain」(港区・3/16-4/13)

杉戸洋による展覧会が「cut and restrain」4月16日まで小山登美夫ギャラリーで開催し...

鏡と天秤─ミクスト・マテリアル・インスタレーション─(中央区・3/12-5/11)

私たちは非日常(ハレ)と日常(ケ)の境界が曖昧な社会におり、個々が非日常(ハレ)と日常(ケ)のバラ...

- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展(品川区・2/6-5/6)

建築倉庫ミュージアムでは、2月6日より「- Green, Green and Tropical -...
建築インフォメーション
Twitter Feed
ページTOPヘ戻る