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105 京都大学派の建築

「建築論」の系譜
京都大学建築学科を中心とする建築デザインの潮流は独自の質と思想を継いでいる。
京大の建築意匠は、設立に際し武田五一が招聘された時に端を発する。しかし通底する思想を見るならば、武田が招いた森田慶一以降の系譜として位置づけたほうがより明快になるだろう。思想的背景として、森田が著作『建築論』でウィトルウィウス以来の「美」「用」「強」の三様態に「聖」を加えた功績をここでは注目したい。

周知のように、近代主義において「美」「用」「強」の諸概念は、建築を「道具」として再解釈させることに貢献した。建築もまた椅子やテーブル、あるいはナイフやフォークなどと同じく日用品として扱われる。そうした「道具」の性質が身体の延長であることも手伝っている。建築は特別なものではなく、要求された機能にしたがう、合目的的制作物に位置づけられた。建築の近代とは、その意味に限って人間中心主義と同義になる。
では森田が「美」「用」「強」に、あえて「聖」を加えた意図はなにか。
森田の「聖」は建築について身体の延長になりえない側面を示している。彼は人間の外にありつづける「超越性の問題」を考えた。「超越」は人間によって生きられることをしない。すなわち森田は建築を人間の延長としながらも、人間自身に関与されないもうひとつの視点を同時成立させている。いうなればそれは近代的なパースペクティブを相対化する複眼的な視点場であり、その展望は近代を超克しうる可能性をもつ。

本特集は上記の見解において京大建築派を構成した。森田を継いだ増田友也は上の問題をあくまでも道具性の先に見据えた。他の建築家もまたその点において考察される別の機会が必要だろう。無論「京大派」とは多様な解釈が可能である。「京大派」については『建築MAP京都』所収の長田直之による論考を参照してほしい。



[撮影者:田中明+杉山真魚+千葉美幸+近藤大介+松田大輝]

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