いまだから知りたい海外建築の実践 2015

2000年代に相次いだ雑誌メディアの休刊などから、日本の現代建築は他分野との学際的交流や歴史にひもづく議論が進んで行なわれなくなり、建築設計をめぐるテーマも、スポットのあたるものとそうでないものの明確な分布状態がつづいていると言えよう。多くの人々の意識にのぼることになる建築も、新国立競技場設計案のような問題とともにあっては、建築の今日的な特殊性ばかりが浮き上がることになる。

こうした状況を、一度、世界の同時的な建築の展開に目を向けることで、相対化してみたい。ただしそこでもまた同様の問題は散見される。私たちは、日々更新される海外の建築情報サイトから、世界の著名な建築家のプロジェクトを中心とした膨大な数の写真や図面を容易に入手できる。しかし、作家像や個々の作品がつくられた経緯、文化的・社会的背景などを共有するためのプラットホームはいまだ不在であり、それゆえに海外の建築思潮への理解や批評が生まれにくい状況がつづいていると言えるだろう。

そこで、この海外建築の実践を知るプロジェクトの継続を視野に入れながら、日本国内から世界へ飛び立った、事務所を主宰する建築家、スタッフとして働く建築家、インターンとして働く学生などから、世界のさまざまな地域では建築実践がどのように行なわれているか、建築は歴史や文化や都市とどのようにつながり、人々の営みとどのような関係にあるかなど、建築の多様性を再発見することを期待したいと思う。

今号では、アジア、ヨーロッパ、南米と、異なる文化圏の6カ国を拠点に設計事務所を主宰し、あるいは設計事務所に在籍して活躍する6組の彼ら/彼女らに

❶ 建築設計事務所の沿革
❷ 活動拠点とする国・都市の建築状況──建築・都市の特徴、社会問題や社会が取り組むテーマなど
❸ 主宰、在籍する建築設計事務所の「コンセプト」や「リサーチ活動」の内容
❹ これまでの実践、現在行なっている実践

などについて、紙幅の範囲で答え、プレゼンテーションをしていただいた。

世界各地から届く個々の多様な言葉と実践から、建築設計のキャパシティを感じ、改めて可能性と向き合う機会となることを想像している。


編集部記


201509

特集 いまだから知りたい海外建築の実践 2015


いまだから知りたい海外建築の実践 2015
[イギリス]Caruso St John Architects
[スイス]Hosoya Schaefer Architects
[中国]MAD Architects
[フランス]Moreau Kusunoki Architectes
[チリ]Smiljhan Radic Arquitecto
[ヴェトナム]Vo Trong Nghia Architects
このエントリーをはてなブックマークに追加
INDEX|総目次 NAME INDEX|人物索引

PROJECT

  • パブリック・トイレのゆくえ
  • TOKYOインテリアツアー
  • 建築系ラジオ r4
  • Shelter Studies
  • 再訪『日本の民家』 瀝青会
  • TRAVEL-BOOK: GREECE
  • 4 DUTCH CITIES
  • [pics]──語りかける素材
  • 東京グラウンド
  • 地下設計製図資料集成
  • リノベーションフォーラム
『10+1』DATABASE

INFORMATIONRSS

戦後空間シンポジウム03「市民・まちづくり・広場──1960-70年代の革新自治体と都市・建築のレガシー」(港区・6/29)

1960〜70年代にかけて、東京都や横浜市など革新系首長が率いる自治体が全国に登場した。これらは高...

刊行記念イベント「建築のそれからにまつわるArchitects」乾久美子×中山英之(渋谷区・6/3)

乾久美子さん、中山英之さんの建築作品集が、それぞれLIXIL出版とTOTO出版から刊行されます。同じ...

「新しい時代のはじまり」展(神奈川県・4/20-5/6)

「旧神奈川県立近代美術館 鎌倉」が「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」として生まれ変わります。 鶴岡八...

「ある編集者のユートピア──小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校」(世田谷区・4/27-6/23)

編集者にしてウィリアム・モリス研究家の小野二郎(1929-1982)が生涯を通して追い求めたテーマ...

連続講義「建築とアーカイブズを巡る論点」(武蔵野市・5/11-)

近年、開催される大規模な建築展も多く、建築や建築に関する資料への関心が高まっているように感じられま...

シンポジウム「日本の近代建築を支えた構造家たち」(新宿区・5/18)

我が国の近現代建築の発展を技術的側面から支えた構造設計手法や施工法などに関する構造資料は、これまで...

「ル・コルビュジエ 絵と家具と」(渋谷区・3/29-5/18)

20世紀に最も影響を与えた建築家、ル・コルビュジエ。建築と都市計画においてのパイオニアであり紛れな...

「わたしはどこにいる? 道標(サイン)をめぐるアートとデザイン」(富山県・3/9-5/19)

「サイン」とは、人を目的地に導く目印のこと。普段意識することは少なくても、駅や空港、商業施設、美術...

「宮本隆司 いまだ見えざるところ」(目黒区・5/14-7/15)

東京都写真美術館では、現在も国内外の美術展などで発表を続ける宮本隆司の個展を開催します。宮本隆司は...

豊田市美術館リニューアル記念イベント「谷口吉生──美術館を語る」(6/15・愛知県)

豊田市美術館のリニューアルを記念して、同美術館を設計した谷口吉生のトークイベントが開催されます。 ...

日本橋高島屋と村野藤吾(中央区・3/5-5/26)

高島屋史料館TOKYOは、1970年に創設した高島屋史料館(大阪)の分館として、重要文化財である日...

NPO建築とアートの道場 2019春レクチャーシリーズ「これからの建築を考える──表現者と建築家による対話実験」(文京区・4/27-)

これからの建築を考えてみたいと思います 確固たるビジョンがあるわけではありません ただ葛藤や矛盾は...

シンポジウム「感性×知性=建築の新たなる可能性を求めて」 (港区・5/7)

21世紀も2020年代が近づき、AI、生命科学、宇宙といった新たなイノベーションが進行し人類のサス...

建築学生ワークショップ出雲2019開催説明会、講演会(東京・5/9、京都・5/16)

2019年夏、古代より現代に受け継がれてきた、わが国を代表する神聖な場所、出雲大社周辺区域にて、小...

杉戸洋「cut and restrain」(港区・3/16-4/13)

杉戸洋による展覧会が「cut and restrain」4月16日まで小山登美夫ギャラリーで開催し...

鏡と天秤─ミクスト・マテリアル・インスタレーション─(中央区・3/12-5/11)

私たちは非日常(ハレ)と日常(ケ)の境界が曖昧な社会におり、個々が非日常(ハレ)と日常(ケ)のバラ...

- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展(品川区・2/6-5/6)

建築倉庫ミュージアムでは、2月6日より「- Green, Green and Tropical -...
建築インフォメーション
Twitter Feed
ページTOPヘ戻る