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特集:201401 2013-2014年の都市・建築・言葉 アンケート<

木村浩之

●A1
エドワード・スノーデンによるアメリカ国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の暴露事件。インターネット依存社会には、もはやプライバシーなど完全に存在しない、いや、どんなプライバシーだって侵害できる、そんな現実が明らかになった。壁や仕切りや空間は、あるようで、ない。信じていたものが、崩れていく。ハードとしての建築だって、スマートグリッドの導入によって完全にオンライン化されるのだ。一般人の毎日の生活がなんら変わるわけではないが、僕以外にも居心地の悪さをもって自分を取り囲む空間を再度見回した人はいるだろう。

●A2
震災からもう2年半以上もたってメディア的に「飽き」がきてしまったのか、震災復興の話題をあまり聞かなくなった。オリンピック決定などの華やかなニュースにおされてしまっているということもあるだろう。そもそも飽きのくるのが早い社会だ。単体の建築だって、ある程度の規模になれば数年かかるものだ。復興は長丁場になる。必ずしも大衆の注目を常時必要とすることではないが、長期にわたっても、ある程度の関心を風化させない方法が必要だと思う。この場を借りて、復興プロジェクトに関わっている方々へ、そしてこれから関わる方々へ、エールを送りたいと思う。

●A3
2度目の開催地でもあり、成熟した社会としてのホストであってほしいと思う。会期中のみならず、開会に至るまでのすべてのプロセスで、今後のオリンピックだけでなく、国・都市・社会としての模範となれるような態度を取れればいいと願う。そして、超高齢化・共生社会への構造変化を遂げるきっかけになればいいと願う。

建築分野においてすでに、新国立競技場の国際建築設計競技において、日本(の行政)はいまだ文化的後進国であることを晒してしまった。建築の社会面においても、日本人が不得意としてきた外国人建設労働者への対応──それも大勢が予想されている──において改善が望まれる。建設関係者だけでなく、一般市民も街中で、外国人建設労働者に出くわすだろう。共生できる準備が整っているだろうか。

お家芸だという「おもてなし」以外にも、望まれていること、なさねばならぬことは多い。成熟、模範への遠い道のりは7年で達成できるわけではないかもしれないが、確実に大きな変化が求められている。
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