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特集:201401 2013-2014年の都市・建築・言葉 アンケート<

山崎亮

●A1
各地で土砂災害が多発したこと。これまでに増して大きな災害が頻発したことは印象的でした。もちろん、大型の台風が多く日本に上陸したり接近したりしたことなどが直接的な要因だと思いますが、これまで懸念されてきたように山や森林の脆弱化もまた原因のひとつなのではないかと考えています。日本の山や森が管理されない状態が続いて久しいですが、照葉樹林帯に位置する日本では極相林に近づくまで不安定な時期が続きますので、今後はますます各地で多くの災害が起きるのではないかと懸念しています。さらに、こうした出来事が都市近郊でも起きるようになる危険性が高まっていますので、コンクリートとアスファルトで固めれば自然をコントロールできるという考え方から脱して、人が介在することによって動的な均衡を保ってきた近自然との付き合い方を現代的にデザインする必要があると感じています。

●A2
手前味噌で恐縮ですが、2014年4月から東北芸術工科大学にコミュニティデザイン学科が誕生し、そこでコミュニティデザイナーを育てることになっています。毎年30人ずつの学生を受け入れ、4年間かけてコミュニティデザイナーとして自立するように育てたいと考えています。東北の被災地復興のお手伝いをはじめ、中山間離島地域や商店街のまちづくりに直接関わることによって、現場でコミュニティデザインの具体的な方法を体得してもらおうと思っています。そのために、大学内にstudio-Lの山形事務所をつくる予定です。現在、学科の講師陣やカリキュラムを検討しているところですが、この段階ですでに新しい学科がスタートしたら起きるであろうさまざまな出来事を想像しながら興奮している自分に気付いています。

●A3
行政や専門家がおもてなしするだけでなく、市民もまたおもてなしするようなオリンピックになるといいですね。ボランティアとして関わることをはじめ、市民事業として関わったり、地縁型コミュニティやテーマ型コミュニティがさまざまな方法で関わることができるようなスキームになることを願います。これによって、オリンピックを単なる大規模イベントとして終わらせてしまうのではなく、オリンピック後に残ったさまざまなコミュニティが東京のまちづくりに関わり続けるようなきっかけをつくり出せると理想的だと思います。
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