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特集:201301 2012-2013年の都市・建築・言葉 アンケート<

辻村慶人

●A2

ちょうど昨日(2013年1月23日。原稿遅れすぎ!)、故スティーブ・ジョブズの夫人、ローリーン・パウエルが、「The Dream is Now★1というサイトを立ち上げました。現在アメリカに存在する1,100万人の不法移民のなかでも、とりわけDreamersといわれる層を支援するための活動の一環です。
Dreamerとは、不法でアメリカに入国した家族に連れてこられた人たちのことで、アメリカではそうした人々に市民権を与えようという法律、ドリーム法(Development, Relief, and Education for Alien Minors)が延々と議論されながらも(10年以上?)、成立には至っていません。

1──16歳未満で家族に連れられ渡米し、5年以上連続で滞在している
2──現在30歳以下
3──学生か、高校卒業資格もしくは軍隊入隊の経験を持つ
4──犯罪歴がない

などなど条件付きなものの、これで80万人は対象になると言われています。

The Dream is Now
引用出典=http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=u4x-Oq4mVqQ

で、興味深いのが、スティーブ・ジョブズの夫人が積極的にサポートしていることからもわかるように、アメリカのIT業界はドリーム法を積極的に支援していて、シリコンバレーのあるカリフォルニア州では、ドリーム法の可決を前に不法移民の子ども(Dreamers)でも企業からの奨学金を得ることが可能になったりしています(ちなみにローリーン夫人とともに先のウェブサイトを立ち上げたドキュメンタリー映画作家のデイビス・グッゲンハイムによる、アメリカの教育問題を扱ったドキュメンタリー『スーパーマンを待ちながら』では、今後アメリカでは高度なスキルを持った人材がますます不足し、スキルのある移民に頼らざるをえないだろうと問題提議をしています。IT業界も人材確保は死活問題なので、不法移民の子どもであろうと優秀な人材には必死に援助しているのでしょう)。
はたして2013年が終わる前には、このドリーム法は成立しているのでしょうか。

あともうひとつ気になるのが、これもフランスで10年ほど議論されている「宿題廃止」論争。廃止派にもいろいろな考え方があるでしょうが、ここにも移民問題があって、移民の子どもの宿題を親が見られないという現実が大きいように思います。学校で教えるべきものを家庭に押し付け、ジャック・プレヴェールの名前も知らない親が、どうしてその詩を子どもに暗唱させることができるのか?ということです。

★1──The Dream is Now
URL=http://www.dreamisnow.org/

●A1

2012年は、日本にいる多くの移民の方々に出会うことができ、その成果は『TOO MUCH Magazine(Issue 3)』として1冊にまとめることができました★2
そしてそこで出会った移民の方々に、移住する際に携えて来た宝物を提供してもらい、東京と大阪で展覧会を開催することもできました★3
日本にやってきたときの話や日本での生活の体験談はもちろんのこと、物自体にも面白い(悲しい?)ストーリーがたくさんあって、2013年は集めたその成果を1冊の本にまとめられたらいいなと思ってます。

TOO MUCH MAGAZINE "The Mirage and the Migrant"。東京での展示風景

★2──『TOO MUCH magazine』No.3(2012)
URL=http://toomuchmagazine.com/issues/issue-3/
★3──TOO MUCH MAGAZINE "The Mirage and the Migrant"(Center for COSMIC WONDER, TOKYO、2012年6月9日〜22日/Center for COSMIC WONDER, OSAKA、2012年9月8日〜30日)
URL=http://www.cosmicwonder.com/center/mirage/

●A3

先日、サンダンス映画祭で初上映されたドキュメンタリー「Pandora's Promise」をはやく見てみたいです★4

★4──Pandora's Promise
URL=http://pandoraspromise.com/


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