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特集:200912 ゼロ年代の都市・建築・言葉 アンケート<

assistant 有山宙

Banksy(グラフィティ・アーティスト)そしてParis Hilton(セレブリティ)

CCTV(OMA)そしてPRADA Transformer(OMA)


都市への痕跡。ゼロ年代は劇場型、メディアと記憶。
Banksyのグラフィティは2000年以降、急激に、ロンドンを、そして世界の街を覆い尽くした。
ステンシルにより、短時間に作品を仕上げることができる。時には、複数の人間によって、Banksyの名のもとで都市への痕跡を残す。たった、1日で20メートル四方の巨大な壁画が現われるのだから。しかも、世界同時多発で。その証拠は世界中をうめつくさんとする大量のCCTVに記録される。"ONE NATION UNDER CCTV"とはBanksyの2008年のグラフィティから。
そして、Banksyは20世紀を象徴するゼロ年代最大のセレブリティ、20世紀を象徴する高級ホテルグループのオーナー一族であるParis HiltonのデビューCDにこっそりと"Why am I Famous?"と書き残した。
次に、中国国営放送のCCTV。レム・コールハースはゼロ年代を象徴するであろう、CCTVのコンペに参加するために、飛行機によって爆破された20世紀を象徴するWTC跡地のコンペを辞退した。
CCTVは竣工目前で、その付属ビルがただの爆竹によって崩れ落ちる。付属ビルには、マンダリン・オリエンタルという高級ホテルが入居する予定だった。
CCTVのプロジェクトは100パーセントの完成を果たすことはできなかったが、レム・コールハースには新たな試みがある。それは、セレブリティだけを対象にしたPRADA Transformerというプロジェクト。ビルディングが変形しながら、何種類かの機能を使い分けていくという。このTransformerプロジェクトがゼロ年代を象徴することになるかはまだわからない。
一見、ただの言葉遊びのようにも見えるが、プライベートな都市活動であるグラフィティと、パブリックな都市活動の建築が、偶然と必然を交えながらも同じところを目指しているように見える事実が、ゼロ年代を象徴しているような気がしてならない。

「One Nation Under CCTV」(<<graham>>, www.flickr.com)/Paris Hilton, Paris, Warner Bros., 2006/CCTV付属ビル(rudenoon, www.flickr.com)Transformerプロジェクト(calamity_hane, www.flickr.com)

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