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特集:200912 ゼロ年代の都市・建築・言葉 アンケート<

福住廉

書物

佐藤修悦監修『ガムテープで文字を書こう!』(世界文化社、2009)


映像

新宿ガムテープ道案内のこと(前編)

http://www.youtube.com/watch?v=_tm0tQWmjSc

新宿ガムテープ道案内のこと(後編)

http://www.youtube.com/watch?v=xr1Eio5c4Uw

出来事

佐藤修悦「現在地」展(@素人の乱シランプリ、2007年8月26日〜9月4日)

http://www.youtube.com/watch?v=xrXQxFz_PgY

佐藤修悦をめぐる一連の出来事こそ、ゼロ年代の都市や建築を語るうえで参照にすべき重要なトピックだと思います。その理由は、新自由主義を標榜しながら都市空間の再編を推し進めたのが90年代からゼロ年代にかけての大きな動きだったとすれば、「修悦体」の運動体はその背後のいたるところで勃発した自律的な公共圏を作り出していく小さな運動を体現する象徴的な出来事だったと考えられるからです。
鉄道の駅という公共空間に現われた「修悦体」は、文字どおり拡張工事という都市の再編過程の只中から生まれ出た芸術表現であり、その意味ではまさしくゼロ年代的な「パブリック・アート」のひとつと言えるのかもしれませんが、しかしそれらの多くがその空間とは無関係に、つまり半ば暴力的に設置されるのにたいし、「修悦体」は乗降客の誘導に効力を発揮するばかりか、その独特のフォルムとガムテープの質感による温もりが、無味無臭の案内文字や意味不明のパブリックアートにとどまらない美しさを、その空間に添えているのです。
ゼロ年代の都市と建築は、透明なガラスと白い壁、そして年中枯れることなく青々とした葉が生い茂る植物の3点セットによって、うす汚れた暗い街並みを片っ端から一掃しつつありますが、「修悦体」はそうした無慈悲なポリティクスが横行する社会にあってもなお、豊かに生きるためのエステティクスを提示しています。その美学さえしっかり持ち続けていれば、さしあたり次の10年は何とかやっていけるでしょう。

『ガムテープで文字を書こう!』

新宿ガムテープ道案内のこと(前編)

新宿ガムテープ道案内のこと(後編)

佐藤修悦「現在地」展(@素人の乱シランプリ、2007年8月26日〜9月4日)

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