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都市の「シェルター」をリサーチするプロジェクト「Shelter Studies」。サンパウロ、カラカス、ボゴタ、ニューヨーク、ジュネーヴ、パリ、ロンドン、イスタンブール……世界の都市を巡り、そこに住まう人々への30のインタヴュー|Shelter Studies is project to research various 'Shelter' by Keisaku Fukuda+Robert Schmidt+Gonzalo Velez. They interview 30 key persons living in vulnerable urban space.|Powered by MT 2.65Syndicate this site

氏名: ヒューバート・クランプナー
職業: 建築家、アーバニスト
国籍: オーストリア
URL: http://www.u-tt.com/
収録日: 2006年10月20日


ヒューバート・クランプナーは、都市を対象に知・言説・建築をツールに活動を続ける漂流者であり、あるときは場所を、あるときは出来事を観察し、同時にそれらを企てる実験者だ。そんな漂流実験者は、あるときカラカスに流れ着いた。完璧な実験場としてのカラカス。20世紀の工業化と都市化は、多くのメガロポリスを生み、一方で急激な都市への人口流入と経済発展速度との慢性的なミスマッチを生んだ。それらは、スラムや公共サービスの欠如などの社会問題を引き起こした。こうした都市を救済や制御の対象としてではなく、「インフォーマル」な力として捉えること。クランプナーはカラカスを基地として、これからも「インフォーマル」な力に反応しながら、漂流と実験を続けるだろう。

住むための、また働くための場所として、なぜカラカスを選んだのですか?
私のパートナーである、ニューヨークのコロンビア大学のアルフレッド・ブリルモーグと共に研究を行なった後、われわれはラテン・アメリカを集中的に旅したところ、20世紀のもっとも興味深い都市形態のひとつであるインフォーマル・シティを考えるにあたって、カラカスは私たちにとって完璧な実験場のひとつになったのです。

建築とデザインについて、あるいはシンクタンクとデザインの関係について教えていただけますか?
われわれは、インフォーマル・シティが形態とデザインの両方を欠いていることに気付きました。それが、実際にはデザインの原動力になっています。われわれはそこから学び、われわれが発見した断片を調整し、また関係づけることに挑戦しています。ですから、われわれにとってデザインはどこでも発見可能なものであり、緊急事態や極端な状況のなかから生まれた解決策は、恐らくわれわれが発見したもののなかでも、もっとも興味深いもののひとつではないかと思います。アインシュタインがすでに述べているように、革新は、それが世界をより良くした時に初めて意味を持つのです。アインシュタインの言葉は、われわれがデザインに、カラカスに、そしてインフォーマル・シティのなかに探し求めている事柄を表わす良い例だと思います。

インフォーマル・シティとはなにを指すのでしょうか?
インフォーマル・シティは、われわれがいつも、近代都市、あるいは伝統的な手法で建設された都市として理解しているものと異なったものではなく、政府によって課されるフォーマルな規制に対して、つねに抵抗してきた力そのものを指しています。将来、都市は巨大で組織化された都市機構によってではなく、より個別的な力の連鎖によって形作られていくだろうと、われわれは信じています。政府はその干渉力を弱め、個別に形成された都市は、人類にとってより必要とされるようになるでしょう。これが21世紀の都市モデルになるであろうとわれわれは信じています。